40 おおかみさんが通る
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― 大通り ―
[元旦、ということもあり、今日は通りに人もまばらだが、通りの一角には人だかりができていた。そこに行けば何かがあるように本能的に感じたのか、自然と足が向く。寄って人の波の隙間から覗き見れば、人狼が出たため警邏を強化するとの旨の一文あり。]
…まさか、本当に…?
[無意識に口許を手で覆い、思わず呟くと、その呟きを耳にした数人が振り向き、ひそひそと囁きあう声が聞こえた。それは波のように広がり、瞬く間に全体に広がり、奇異と不審の目が彼女を襲った。 異人の顔立ちと異国の白い装束を見につけた色のない彼女の姿は、彼らからしてみればさぞ気味が悪く見えたであろう。 彼らの目線と浴びせられる疑いの声に押され、数歩後ずさるが、逃げ出そうにも逃げ出せず、救いを探すように周囲を見渡すと、遠くに軍服を着込んだ男が歩いてる姿が目に入った。昨日カフェの前で見かけた異人の風貌をした男であった。]
(26) 2011/01/01(Sat) 09時半頃
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−柴門洋品店−
いやあ、これはいいですねえ。
また買ってきましょう。うん、これはうまい。
[入れてもらった紅茶と共にロシヤケーキ。
甘さも温かさもよいが、何よりこの穏やかな時間が贅沢だといえた]
翠さんは紅茶党ですか?
私はお茶も好きですねえ。
それにしても、うん、うまい。
[赤くてぴかぴかとしたドレンチェリィの乗った菓子を一口かじって、
店主はのんびりと表情になった]
(#1) 2011/01/01(Sat) 13時半頃
おや、何でしょうね。
初詣には幾分早い時間ですが…
[ケーキを半分くわえたまま、外に視線を向けた翠を見て首を傾げる。
彼女が子供のようになにやら声を上げるにつられて
今度はショウウィンドウの向こうを見る]
雪ですねえ。やぁ、これは寒いわけだ。
これはストゥブに薪を足さないといけませんねえ。
おや、翠さん外に?
あまり冷えすぎないうちに戻るんですよ。
[唐松ストゥブの調子を見ながら出て行くその背に声をかける。
ストゥブの上では小さな薬缶がしゅんしゅんと湯気を立てていた**]
(#2) 2011/01/01(Sat) 13時半頃
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――大通り・31日夜―― [落ち着いて、と諭す声。それと同時に、かつん、と軽快な音が響いた。目に飛び込む鮮やかな臙脂]
(唐笠爺……)
[街を闊歩する下駄の音と、唐笠を売り歩く姿は有名。 しかし学園では洋物に憧れる少女ばかりだから、壇の姿は唐笠爺として、時代遅れの産物と仇名される始末。爺と呼ばれる年齢でもないが、それは女学生達からの視点]
(何故そんな、他人事のように……)
[忠告はともあれ、壇のどことなく曖昧な反応に少し苛立ちを覚える。傘を差し出す様子も、普通なれば気遣いに心がざわめくものだが、唐笠爺の噂が高じて良印象を抱けない。
壇が立ち去った後、翠が望めば状況説明の後に現場を見に行く。 その後は柴門に挨拶をすると、彼女に別れを告げ、雪降る中を帰路についた。傘は翠が持ったままで]
(27) 2011/01/01(Sat) 14時頃
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――新年―― [新年の挨拶は、無かった。 祖父、父、兄と一家の男は昨晩から人狼騒ぎで、帰宅すらしていないと言う。 身体の弱い母は早々に部屋へと戻ってしまった。手持ちぶさたになった彼女は、唯一家で認められる洋装、つまり女学校の制服に着替えると、初詣がてら七坂を歩く]
この字は…お父様かしら。
[昨日の現場には看板が立てられていた。父の字だ]
嫌な新年ですわ……。
[神社にて初詣。周囲の会話からは頻繁に人狼の単語が飛び交う。人々の顔もどことなく不安な様子]
あら、あれは唐笠爺……。 それに異人さん達も、初詣するのね。 あの人も、どこかで見た事が……。
[見知った顔をちらほら見掛けたが、向こうが気付いていたかどうかは定かではない]
(28) 2011/01/01(Sat) 14時頃
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−31日・大通り− [何やら想像されているとは知らず、女学生を見下ろせば それが女学院の今の制服だと分かる。 男は少しだけ目を細めたりもした]
ああ、いや。 一人で行かれると、危ないですよ。
[悲鳴のほうへと身を翻す様に肩を竦めながら足を向ける。 裂傷で身を飾る男はどうにか息はある様子。 医師の手配をすると、暫くその現場を見守った後に男は身を翻す。 外人墓地へ少し寄り道した後、街外れに預けておいた馬と共に 七坂から少し離れた自邸へと向かった]
(29) 2011/01/01(Sat) 14時半頃
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−元旦・自邸−
新年早々留守にして済まないが後は頼む。 …あまり遅くはならないと思うけれど。
[玄関先で外套を渡してくれる妻に声をかける。 返ってきた返事は男にアピールするかのような小さな握り拳と明るい表情、 『大丈夫ですよ、気をつけて』という元気のよい声。 数年前、女学校の卒業式が終了するやいなや、馬で攫うように 連れ帰ったことも今は女学校では少しだけ古い伝説だろう。 それを夢見る乙女のロマンスと取るか破廉恥と怒るかは少女たち次第。 尤もやらかした本人は、然程周囲の風評を気にしていないようではあった。
自分より随分低い位置にある彼女の頭を撫でてから家を出たのが早暁の事]
(30) 2011/01/01(Sat) 14時半頃
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ー元旦・大通りー
[先日の怪我人の容態を確認するべく休憩時間の合間をぬって 医院へと向かうのは土色の軍服と同じ色の外套姿。 何かを聞きとめたのか、その足は止まる。 白い洋装の女の姿は、男が懐に仕舞う写真に写る母とも少し似る]
Behöver du hjälp? …Need help? (お困りですか?)
[最初に告げた言葉を更に一度、英語に直し。 最後に英語でも伝わらなかったら日本語にするつもりでいた。 勿論、その白い後姿を初詣帰りの少女が見ているとも気づかない]
(31) 2011/01/01(Sat) 14時半頃
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明けましておめでとうございます。
[途中で柴門に出会い、新年の挨拶をする。新年なのに晴れ着の和着物を着ていない事に対しては、制服の方が動きやすいからと言葉を濁した。 仕立て屋当人に、和装はあまり好まないとは言えない。とは言え、学校が無い日も制服を着ようとする彼女の行動より明白だ。 異国に憧れるお年頃。
神社の入り口で、神妙な顔で話している兄を見掛けた。数人の警察仲間を連れ、そのままどこかへと。 人狼探しは難航しているらしい]
わたしにも、何か……出来る事が有るはずですわ……。
[片手に破魔矢、片手に貰った甘酒を握り締め、考え込む。焚き火がぱちぱちと爆ぜた**]
(32) 2011/01/01(Sat) 15時頃
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−元旦・柴門洋品店−
いやあ、これは随分積もりましたねぇ。
[硝子の嵌った扉を開けると新雪の匂いがふんわりとする。
目を細めて浸っていたが、やがて気合の足りないくしゃみが一つ。
鼻を軽く啜りながら店の前の軽く雪掻きを済ませ
せっかくなので小さな雪達磨をこしらえて満足そうな顔をした。
少女の新年の挨拶はその背に掛かる]
これはこれは馬込のお嬢さん。
明けましておめでとうございます…おや、制服ですか。
[女学校は休みだったはず…などと首を傾げたが
返ってきた返事に気弱な顔はにこにこと笑みを浮かべた]
(#3) 2011/01/01(Sat) 15時半頃
そうですかそうですか、制服も正装ですから宜しいでしょう。
[父の代までは呉服の商いを中心にしていた事もあり
馬込家からは和装の注文が未だに続いている。
己の代は需要や自身の好みもあって洋装も手がけ店名を改めたが、
今まで受け継がれてきた和服も当然よいものだと思っている。
要に、自分は服というものが好きなのだろうと自認していた]
新年早々何やら物騒な話もありますからね、
人の多いところにおいでなら、どうぞお気をつけてお出かけなさい。
[濁すような返事にも男はのんびりとした返事で少女を見送る。
雪達磨を見てにこにことしたあと、男は店の奥へと声をかけて中に入る]
翠さん、甘酒を一つお願いしますよー。
[店の奥の居住側から、雑煮や餅の焼けるいいにおい。
今日は住み込みの針子さんたちにもお暇を出して
みんなで新年をゆっくり祝う予定であった**]
(#4) 2011/01/01(Sat) 15時半頃
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[軍服の男から声をかけられ、一瞬安堵したような表情を浮かべるが、すぐにそれは元に戻る。 英語で返事をしたならば、更に状況は悪化するだけではなく、間違いなく異人の血を引いている軍人にも害が及ぶかもしれない。しかし、日本語で返事をしようにも、この場に相応しい言葉を思い浮かべることも叶わず。]
あ、あの……
[彼女にできた事と言えば、思わず漏れた呟きとともに困っている表情を浮かべる事だけだった。]
(33) 2011/01/01(Sat) 16時頃
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――新年:柴門洋装店――
出来た……!
[人々が初詣やら挨拶やらに向かう中、翠は早朝から仕事をしていた。 それは別に、柴門から命令された訳ではなかったが、年末に急ぎで注文されたドレスの納期を考えると翠の身体は自然と動いてしまうらしい。
そんな、放っておくと、いつまでも仕事を続ける翠の性格を知っているのか普段から柴門は、事ある毎に休憩しましょうと持ちかけてきていた。
今日は元旦ということで、他の針子達は正月料理を作っている。]
え…は、甘酒…?!
[店先から届いてくる雇い主の声に、仕事に熱中していた翠は現実に戻る。 あと少しで出来るからと思い作業を続けていたら、それなりに時間が経ってしまっていたらしい。 辺りにはいつの間にか温かくも美味しそうな匂いが漂っていた。]
(34) 2011/01/01(Sat) 16時半頃
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柴門さん、柴門さん。 東様のドレスの仮縫い終わりました。
[柴門は店内に戻ってきていただろうか。 甘酒を手渡しながら、翠は嬉しそうに報告する。 早朝から仕事をしていたと知れば、彼は苦笑したかもしれない。]
ふふ…後は試着して貰って、微調整して本縫いですね。 流石に、今日は試着はお願い出来ないでしょうけれど…
[若干残念そうに眉根を下げたのも束の間、店先に可愛い雪達磨が見えれば翠はその翡翠の瞳を輝かせた。]
わぁ…可愛い。小さい。 あれ、柴門さんが作ったんですか?
[幼い子供のように、その白い創作物に興味を示すと、先日と同じ肩掛けを羽織って、店先に出る。 関心に寒いことも料理の手伝いのこともすっかり忘れた翠は、暫くの間、店の前の雪達磨を眺めて過ごしていた*]
(35) 2011/01/01(Sat) 16時半頃
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−大通り−
[こちらに向けられた表情は一瞬変わり、そして戻る。 日本語での返事に首をかしげた男はこう答えた]
What happened. Stone was thrown? Or bullied? (どうしました。石でも投げられた?それとも苛められた?) …Stay for proudly if you have never guilty. (…君に後ろめたい事が無いのなら堂々としていなさい) But if you have any comments, say properly. (でも、何か言いたい事があるなら、貴方はきちんと言うべきだ)
"Are you a werewolf?" "No, I do not wolf. " (あなたは人狼ですか?) (いいえ、私は人狼ではない)
Well, in Japanese. (もちろん、彼等に伝わる言葉でね)
[男は悪びれる気配も見せずに片目を瞑り、それから笑ってみせた]
(36) 2011/01/01(Sat) 16時半頃
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ヴェスパタインは、ふと、柴門洋品店に行く用事があったことを思い出したがいまは後回し**
2011/01/01(Sat) 17時頃
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―元旦・大通り―
[晦日は何処の家とも変わらぬ風景であった。 住み込み弟子と共に除夜の鐘を聞き、蕎麦をすすり、軽く酒を飲んで、初夢にと床につく。 元旦も例年変わらず、初詣にとやって来たところである。
華やかな着物、或いは煌びやかな洋装に身を包んだ女性と擦れ違う。 その度、此方は方や四十路も迎えようかというむさ苦しい男のみ しかも時代遅れと呼ばれる己が隣に居ては、恥ずかしいのではないかと念う。 住み込み弟子に親は居らず、今日のような雪の日に拾って側に置いたものだから半ば親代わりの心境でもあった。 己に妻でも在れば変わって来るのだろうが、どうも其れに縁はなかった。]
年玉だ、少ねぇが御神籤でも引いてこい。
[袂から幾らか気持ちばかりの札を握らせた。]
(37) 2011/01/01(Sat) 17時頃
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さむ〜……
[根無し草はぶるぶると。 雪の下を下駄でせかせか。 家がどこだか誰も知らぬくせに、 この男身なりはきちんと、金も普通に持っている。
ふしぎと思うものはあれど、 面倒くさいと思われるのか 誰もその実を見極めようとせぬ]
さてさて、ここは何かあっついものでもかっこまねばなるまいよ。
あぁんな噂を聞いてしまった後だからな。 厄落とし厄落とし。
(38) 2011/01/01(Sat) 17時頃
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[男が持つ金にこびりつく赤黒いナニカ。
面白半分につけた名前は「ねなしぐさ」
着込んだ着物も、季節はずれのような下駄も、
どれもこれも、ある意味お古。
勿論、お古といえど、使っていた人の時は既に止まってはいるのだが。
墓の中で。]
[下駄の男はせかせか歩く。
そして大通りに至れれば、すれ違う大柄の男人に、
ぴくりと眉を動かして
ちらりとその姿を見れども声かけることはない。
だって顔見知りでもなかろうし]
…こわぁいお人ですナ
[ぼそりと聞こえぬように呟いた。
見えれば尻尾がぴりりと逆立つ]
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[男至るは大通り。 ノワールというとこで出す豆茶は自分のお気に入り。 苦いけれども見栄で美味いといってるだけと、 知っているのは誰だろう
遠めに見える、大柄の人にちと小首かしげども、特に不思議な光景でもなし]
羽振りのいいお大人は羨ましい。 強請りもすれば、綿入れの一枚も恵んでもらえるかしらん?*
(39) 2011/01/01(Sat) 17時頃
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[参拝も終わり弟子とはその場で別れを告げる。 其れはいつもと変わらぬ袴姿で、からころと下駄を鳴らして緩やかに歩く。 人込みに下駄の足音は掻き消されてしまうが。
参拝客の女生徒達が嘲笑と共に口々に呟く“唐笠爺”の呼び名。 特別不快に念う繊細さは、矢張り其れは持ち合わせていなかった。 だが傘を売り歩くなどと謂うことをしたことはなく、臙脂の傘を広げて歩く様が女生徒にはそう見えたのだろうかと。 噂話なんてそんなものだろうかと考えるに至るだけであった。
人狼の噂もそうであれば、と念う。 火の無い場所に煙は立たぬ。 けれど野犬や何かから、そんな噂話になったのなら、と。
ふ、と。 考えを張り巡らせて居たならば、視界には先日の女生徒の姿が在った。]
(40) 2011/01/01(Sat) 17時頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/01(Sat) 17時半頃
[噂話になったなら、と念うがおかしな事であろうか。
噂に上る“人狼”が、己自身であると謂うに。
滑稽であろうか。
戯言であろうか。
けれど其れは、矢張り他人事のように“人狼騒動”を眺めていた。]
………。
[耳はよく、鼻もよい。
こびりつく赤黒の鉄の臭いか同族の匂いか、嗅ぎつけたのはどちらだろう。
此方が認識したのなら、互いに其方も認識したはず。
擦れ違う下駄の音に季節外れの着物に、黒檀を向けて無言刺す。
眉根潜め、珍しく険しい顔であったか。]
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[男が片目を閉じ笑ったのを見て、少しだけ顔が緩む。少しだけ迷った後に、意を決したような目をし、ふり向いて言葉を発した。]
…私は、異人の血を引いてはいますが、怪しい者ではありません。
人狼でもありません。
疑いの目で、見るのは止めて下さい。
[言い終わると、彼女は自分を見ている人々を睨むような強い目つきで見返した。彼女の日本語が予想外に流暢だったことと、強い口調に拍子抜けしたのか、毒気を抜かれたのかはわからないが、看板前にたまっていた人達は一人、二人が立ち去るのを皮切りに一気にいなくなってしまった。立ち去りながら、怪しいとばかりに返り見るものやひそひそ話を続ける者はいたが。 少し間を置いて、彼女はようやく大きく息を吐いた。]
どうなることかと思っちゃいました…。 本当にありがとうございました、軍人さん。
[そう言うと、ふわり、と微笑んで頭を下げた。]
(41) 2011/01/01(Sat) 18時頃
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[擦れ違う人込みの中此方を向く視線が在った。 振り返り送る視線、眉根を寄せて珍しく険しい顔付きになったのは元旦眩しい初日の所為か。 言葉をかけるでなく、またかけられるでなく、其れは視線を女生徒へと戻した。
だからとて話し掛けるに至る理由もなく。 先の対応からして其れ自身がよく念われていないのも解っている。 からころと鳴る下駄の足音をなるべく響かせぬようにして、暖をとる為と近寄るだけだった*]
(42) 2011/01/01(Sat) 18時頃
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―― 大通り ――
よぉく降ったなぁ。
[一晩寝て起きれば此れだ。深々と積もった雪化粧。 そこは寒さよりも好奇心が勝る年頃。
かさ、と雪を掬うと、 ひぃつべた!と喚きつつ 通りの脇で雪達磨を作ってご満悦である。]
(43) 2011/01/01(Sat) 18時半頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/01(Sat) 18時半頃
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明里か。
[大通り、響いた聞き慣れる声に目を向ければお転婆少女が雪遊びに勤しむ姿が映った。 今日も変わらず元気そうな姿に、無意識に頬も微か緩もうか。]
余り薄着で居るな、風邪を引くぞ。
[いつものように、お節介な言を謂うた。]
(44) 2011/01/01(Sat) 18時半頃
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[手にした銭は人のもの
身にする着物も、人のもの
己のものは名前だけ。それも勿論、でたらめで]
不思議なお人に出会ったものよ。
あれはきっと物の怪よ。
かの人は油なめる狐か否か。
狸としてはでかすぎよう
友とするには…可愛くナイ。
噂の根元は己か否か
害なきを如何にか見極め
如何にか問おうか
わが身かわいさ、この上もなく
無駄に触れては……
[謡い屋のように呟く言葉
同類同士の言葉にも聞こえよう]
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ーノワールにてー
ごきげんようごきげんよう。 雪が暖を嗜めと仰るのでこちらに至った次第。 この上は早々にお一つ、頂けますかいナ?
[ノワールの店主の視線はいつもいつも胡散臭い。 そンでも、高い珈琲の金を払う若者を邪険にすることはそうそうない]
そういやサ、人狼ってぇ噂を聞きましてサ。 これって本当なんですかね? いやほら、大和の国は八百万の神がいるってぇのに、 動物のような物の怪が一匹でたからって
なんでそうも驚くのかなぁと、ネ。
[食器の音が、チリンと聞こえる]
(45) 2011/01/01(Sat) 19時頃
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[不思議な唄が風に乗る。
唄の歌詞まで鮮明には聞き取れぬ。]
同族、か。
“人狼騒動”は彼奴の仕業か。
…どちらとて構わん。
平和に暮らせれば、それで佳い。
[其れはただ積もる雪の反射に眸細め。
夢物語のような言を呟いた。]
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