287 ―シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア2―
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[片目を輝かせてこちらを見る、 その姿はいつもよりは少女じみて見えて
……少女じみて、といっても 外見は変わらないのに、おかしなことだと思った。 それを見て少しだけ、男の笑みが和らぐ。>>197]
もっと大きかったよ。 みんなで囲めそうなくらい。
[大きさや形を示す手が小さいので、 男は彼女より大きな手で、もう少し大振りに そのこたつをあらわした。
ほんの一瞬だけ、甘さを感じて ゆる、とまどろみに落ちそうになる。 仮の食卓の中で。>>196]
(213) 2018/11/09(Fri) 00時頃
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…………、
[けれど、眠りは一気に、引き上げられてしまうのだ。 ぽつり、と女がなんとなく零した言葉で。>>199 差し向けられたスティックシュガー。 笑ったままの、女の顔。 偽の食卓。
きっとそれで満足してしまえばいいのだと思う。 思うのに、やっぱり、]
(215) 2018/11/09(Fri) 00時頃
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[こんなにも恨めしくて憎らしくて、執着していて 思い残すことのひとつくらいはあってもいいじゃないかと 思ってしまう
思ってしまったので、 ]
(216) 2018/11/09(Fri) 00時頃
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…センキュ
[男は、それだけを言って、 そのスティックシュガーを受け取った。 さらさらと自分の飲み物に入れて 一口だけ、飲み込む。 甘いね、と呟いて
男は微笑んだ。]
(217) 2018/11/09(Fri) 00時頃
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怒ってたら、良くなかったの? あんたに怒らないのは、ただ俺のためだよ きっとあんたに怒ったらみんな嫌いになっちゃうぜ
意味わかる? それだけあんたが憎いってこと。 憎くて恨んでて、愛してるってこと。
[ひとも、ひとから派生した怪物のなりそこないも 憎んで愛している
――どっちつかず、蝙蝠野郎の戯言だ。 戯言を吐きながら顔は笑っている。 目だけ伏せて、冷めかけた液面を見つめ、]
(218) 2018/11/09(Fri) 00時頃
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思い残すことがないんなら、 俺をそんな風にしちゃった分くらい、 償ってくれたってバチあたらないでしょ 償う気もなさそうだけど
[指を伸ばす。それは彼女の手をとるためのものではなくて その顎を捉えるためのもの。 くちびるにするには、覚悟が足りなくて 片目を隠す髪へ、触れるだけのキスが 届いたのか、届かなかったのか
椅子一個分の距離だから きっと避けるのも簡単で 女が避けようが、避けまいが、 男はどちらにせよあっけなく離れる。]
(219) 2018/11/09(Fri) 00時頃
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[―― 届くのは、砂糖の足りない苦い珈琲の匂い。*]
(220) 2018/11/09(Fri) 00時頃
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