152 最初からクライマックス村2
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[動きだした禁術はもう、止められないのか。
地響きの様な、禁呪龍の唸り声。 楽園と、かの地との境目に罅入る音。
災厄が、] [最後の災厄が、迫っている。]
……死者を愚弄するのは、いい加減にしてください。 彼らは、わたし達がこの目で最期を見届けた……、 !
[そう言う間も、蘇る屍体は数を増す。 それは息絶えたその瞬間の姿のままに、此方に敵意を向けてくる。 圧倒的な、力の差。 此方に怨嗟を向けるその貌は、確かに姉や、妹の顔に似て。]
…… ッ 、
[妹や姉の様な姿の腕をかいくぐり、少しでも、少しでも廃棄神王《ダスティア》の近くへ向かおうと。 この刃の、届く距離へと――――]
(148) 2013/11/24(Sun) 20時半頃
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[道を拓いたのは]
[浄化の焔]
[地に満ちる昏い炎とは違う。] [キャロルの纏う陽の炎とも違う。]
………焔王……!
[それは、焔王たる名の、証。]
[母からかつて、伝え聞いた事がある。 女神の楽園。その楽園の子。 彼らの能力の強大さと、―――――そして、力の代償と。]
焔王、 そんな……! ……だって、わたし、……まだ、何も、
[災厄が止まったその時に、父と母の話を聞かせてくれると。 姉を喪ったあの日、確かにそう、約束したのに。]
(151) 2013/11/24(Sun) 21時頃
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[駆け出す足。 倒れそうになる身体を支えながら、それでも脳裏に思考を巡らせる。]
[もしもこの屍体達が廃棄神王《ダスティア》の力で操られているのだとすれば。 その屍体を失った今、少なからず、彼は消耗しているのではないだろうか。
未熟な自分では、まだ留めはさせないかもしれない。 けれど。]
[全ては推測の上だ。]
[だから、切り込むのは、自分だけで良い。]
――――敵に背を向けるか、廃棄神王《ダスティア》よ!
……今、あなたの敵はわたしの筈。 わたしはまだ、戦える……! [声に応えるように、吹き、満ちるのは銀の風。 女神に、楽園に、忠実であろうとしたその猫の背をも、春を呼ぶ風は力強く押して。]
(157) 2013/11/24(Sun) 21時半頃
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[振り抜かれた、鈍色の鎌。 咄嗟に突き出した術具の柄で、その斬撃を受けとめる。]
……く、 ぅ…… !
[びりびりと、痺れが指先から伝わってくる。 珠があれば、いくらか衝撃を軽減できただろうに。
それでも、“白”を温存する為、術具の力はそう、頼れない。 足は止まり、数歩、押し返されるようによろめくが。]
……せめて。 せめて、あの石だけでも、……! [一歩。] [確かに前に、踏み込んで。]
(158) 2013/11/24(Sun) 21時半頃
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[――――再度、振り下ろされた刃を受けとめたのは、“白”]
[罅入る白に、] [瞳は、見開かれる。] [その刀身と、柄の白とが擦れる度] [細かな破片は、煌めいて]
……返して、ください…… それは、……あなたが、手にして良いものでは、ない……!
[その懐に潜りこむ為、力を抜いたのはほんの一瞬。 受け流す様に、やり過ごす様に。
解いた片腕を伸ばし、煌めく“暁”をこの、掌に―――――]
[白に入った罅に、動揺したのもまた、確か。] [こんな場所で、これを失ってはならないと、焦ったのも、確か。]
[そして何より、強大な陽の力を染め上げた、闇の力の籠められたその石に、直に触れたらどうなるかだって。]
(163) 2013/11/24(Sun) 21時半頃
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[――――――― それでも、手を伸ばす。]
(164) 2013/11/24(Sun) 21時半頃
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……わかっています、……これは、《資格》のある者じゃないと、触れられないって。 わかって、……います。
[指先に触れた暁の感触。 伝わる、痛みとも熱ともとれない感触に、一度、指を引きかけるが。]
――――― 大丈夫、
[キャロルの声>>166に少しだけ、唇の端を上げて。]
[五本の指を] [その闇に伸ばして]
[掴み取る。]
(169) 2013/11/24(Sun) 22時頃
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―――――― !!!
[咽喉から、本当に叫び声は出ていたのだろうか。]
[溢れ出るのは、闇の焔。 それは、閉じ込められていた陽の叫び声にも似て。]
………かえして、もらい……ます……
[それでも、捥ぎ取る様に、握り締めた掌を引く。 術具から手を離し、溢れ出る闇を、両の掌で包み込んで。]
………キャロルさん、…… ごめんなさい、……片方しか……
[焔の中、そっと掌を開けば、“暁”は掌から逃げ出す様に飛び出した。]
[本来の、主の元へ。]
(171) 2013/11/24(Sun) 22時頃
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わらわが主よ。愚かと思うならばどうぞ、御慈悲を。
禁呪龍の贄ヘとこの身をお使いください。
そして主の望みのままにお使いくださいませ。
[渦巻く焔の中でも届いた主の声に
ひゅーひゅーと隙間吹く風に乗せて祈る聲が運ばれる]
――そうだな。
それがお前の望みならば。
今までの働きに免じて、お前の最期の力を、かの龍に捧げよう。
お前は、糧となって龍の中で生き続けるだろう。
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[術具を手放した今、身体能力は年相応の娘と然程変わらないものとなっているだろう。 廃棄神王《ダスティア》がそうであるように、自身もまた、闇の焔に咽喉を焼かれて。
引かれる腕、覗く鋭い牙に、彼の成そうとする事を悟る。]
………!! 離し、なさい ……!
[地に落ちた術具はあまりに遠く、強い力で引かれれば、細い身体は簡単に傾ぐ。
天秤の血は、陰を深く刻んだ血。 光でもなく、闇でもなく。
故に、どちらにも染まりやすく、―――――]
[背けるように、目を、固く閉じた。]
[――――― 青い鳥]
(183) 2013/11/24(Sun) 22時半頃
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わらわが主よ。身に余る光栄にございます。
[血だらけの口のまま、奉げるのは歓喜に震える謝辞]
わらわが主よ。主のその死を告げる鳴声。
いつまでもわらわに届いております故。
どうぞどうぞ。
主の思うままにご命令を。
[禁呪龍に取り込まれ、操る事が出来るならば、
死を告げる主に忠実なる龍が生まれるやもしれなかった]
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[掴まれていた腕の拘束が、解かれる。 焔が焼いた肌に、青い鳥の羽が触れる。 熱を帯びた傷は、ひんやりと、清められていく。
それは遠い昔。 一族壊滅の危機に際し、体調を崩した自分の傍にいてくれた、兄の掌を思い出すようで。]
……おにい……、ちゃん……
[――――― 閉じていた瞳を、薄っすらと開く。
眩い炎は、これだけ激しく燃え盛っているというのに、少しも熱さを感じない。 腕を引く、キャロルの姿。 額に輝く“暁”は、その額に燦然と輝いて。
口元は、少しだけ笑みを、形作って。]
(194) 2013/11/24(Sun) 23時頃
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……わたしは、……大丈夫。 デメテルさんの、治癒が、……効いていますから。 ……それに、“白”の修復にも、あたらないと。
だから、早く、《黄昏》を。 ……行ってください、貴女なら、きっと……。
[震える指先は、吼える廃棄神王《ダスティア》を指差した。]
(195) 2013/11/24(Sun) 23時頃
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[細い指を組み、祈る様に。 禁呪龍の再来を待つ声に、駆けた背を押すのは銀色の風。
そうして、そっと、足元の術具を拾い上げる。 罅が深く刻まれた、白。 形を保っているのが、やっとだろう。
代々受け継いでいくことにより、膨大な力を溜めていた《白》も、ここまでだろうか。
労わる様に、そっと、撫でて。]
………!
[はらり、と落ちる白。
欠片のその下に輝いた、その色は。]
[――――――――*白銀*――――――――]
(208) 2013/11/25(Mon) 00時半頃
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