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[ふと思い付いて。耀の傍に寄ると、耳元でそっと名を囁いた。
さて、彼は『誰』と勘違いしてくれるのだろう]
[じいと眠る顔を見ていると、不意に母の顔と重なった。驚いて目を擦り、改める。
どうして…。
手を伸ばして、顔にかかる髪を横に払う。見える火傷の痕に息を飲んだ]
―3年前のある日―
[TVのニュースを見ていた母が、小さく悲鳴を上げた。
何事かと、手を止めてTV画面を見ると、どうやら火事で家が全焼し、一家族が死亡と重傷だという]
…ふぅん
[『ただのニュース』だと思い、再び宿題のプリントに鉛筆を走らせる。暫くすると、母の押し黙った嗚咽が聞えてきた]
奏音さん、どうしたの?
[心配になって声をかけると、母に強く強く抱き締められた。しがみつかれたというのが正しいのやも知れぬ]
『…調音ちゃん、調音ちゃん……。死んじゃった。ママの…従姉妹が、死んじゃったの…』
[震える背を撫でることしか出来なくて]
…苦しかっただろうね
[そんな事しか。言えなかった]
―時は流れる―
[そうして。火事のニュースを見る度に、母は呟く]
『ヨーカちゃん、無事かなぁ…』
[先の火事で、唯一生き残ったという従姉妹の子供の名を呟く]
『心配だけど、連絡できる訳じゃないしね…』
大丈夫だよ。奏音さんがこんなにも心配しているんだから
きっと元気に過ごしているよ
『うん…。そうだね。そうだと…良いね』
[そうして決まって母は、調音を抱き締める。
直接触れられない代わりに。
『ヨーカちゃん』の代わりに**]
―現在―
[火傷の痕。『ランカ』という名前。微かに見える母の面影]
…はんっ
まさか
[打ち消した。髪に頬に触れる手は、何故だか止まらない。
起きぬ気配にもう一度、耳に唇寄せて]
ら ん か
[*名を呼んだ*]
―時は流れる
[そうして。火事のニュースを見る度に、母は呟く]
『ランカちゃん、無事かなぁ…』
[先の火事で、唯一生き残ったという従姉妹の子供の名を呟く]
『心配だけど、連絡できる訳じゃないしね…』
大丈夫だよ。奏音さんがこんなにも心配しているんだから
きっと元気に過ごしているよ
『うん…。そうだね。そうだと…良いね』
[ニュースの後、決まって母は調音を抱き締める。
直接触れられない代わりに。
『ランカちゃん』の代わりに**]
―― 少し先の話・夢うつつ ――
[倒れた体は思ったより体力を消耗していたようで。
横になればそのまま意識は夢の中へ沈み。
……誰かが、現れても。
触れられても。声をかけられても。
目を覚まさず]
……ー……く、ん……
[唇は勝手に音を紡ぐ。
耳元で名を呼ばれれば、僅か、口元が緩み**]
……どう、しよう?
日向は、誰にも……言えなかったんかな。
[禁断の恋。身分の差。祟りと目されたほどの、想い。
それに比べれば、些細だろう痛み。
けれど気づいてしまえば、抜けない棘のように、その存在を、ちりちりと感じずにはいられなかった]
![]() | 【人】 若者 テッド[ただ、その事よりも、蓮端の声色に落ち着いた冗談の色が混じることに張り詰めていた意識が一気にほどけていく感じがして、口元に笑みを浮かべた。] (161) 2011/05/18(Wed) 12時頃 |
あ?
くっそ、それじゃ誰の名前かわっかんねー
唇んとことか、目元とか、奏音さんに似てる気がするのに、な
[その箇所に、*指を伸ばした*]
![]() | 【人】 若者 テッド[くしゃみに止められた問いは最後まで紡げたろうか、蓮端に見咎められてシャワーを浴びろと言われたとしても、最低でも着替えがないとどうしようもない、と一度浴室を出ていこうとするだろう。] (199) 2011/05/18(Wed) 15時半頃 |
――……
[触れられればぴくりと震え。
それでも深い眠りに落ちているのか、瞳を開く気配は無い。
唇は何か言葉を紡ぎたそうに幾度か震えるけれど、音にはならず。
深い、夢の檻に、閉じ込められたまま]
[おそらくは、耀の家族の霊とは珀も共にあっているだろう。
家が近ければ、真夜中の喧噪にはいやでも気がついたし。
それが耀の家と知れれば、父と母が叩き起こしにきたから。
己が珀を呼びにいったのか、珀が来たのが先だったか、耀の家の近くであったのか。
記憶が混乱していて定かではないけれど……。
3年前、珀は、すでに1人だったろうか。
どちらにしても、2人を護らなければ……と蛍紫が強く思った瞬間。]
![]() | 【人】 若者 テッド―浴室を出る直前― (261) 2011/05/18(Wed) 22時半頃 |
![]() |
―― 3年前 ――
『だって、まだ生きてんだ!』
[真夜中、あかく染まる窓に、ひとり飛び起きて、外へ駆け出した。
蘭香と拓斗の痛みは、伝わってこないから。
ふたりは生きてるって確信してた。
だから、水を被って飛び込もうとした無謀なこどもは、近所のおとなたちに押さえつけられ、何もすることが出来なかった。
彼らの判断は正しい。
こどもひとり、飛び込んだところで、死体がひとつ増えるだけ。
でも。
だけど。
彼らには、『彼』の姿は見えない。
蘭香を残して、揃ってしまった家族の姿は、見えないのだ]
![]() | 【人】 若者 テッド―二階へ― (264) 2011/05/18(Wed) 22時半頃 |
[見えていたら、痛みを感じられていたら。
飛び込まずにいられなかった自分を、止めはしなかっただろうと、何処にもぶつけられない憤りを抱えた自分に、拓斗は。
しっかりしろ、というように額を小突いて。
生前と変わらぬ優しい響きで、弟を頼むと、託していったから。
幼馴染が自分にとって大事だからって理由だけじゃなく、拓斗兄ちゃんの分まで、蘭香を護らなきゃって。
きっと、その想いは蛍紫も一緒だと、交わした眼差しに想った]
![]() | 【人】 若者 テッド[それから、自分はそのもうひとつ奥の部屋へ向かう。 (265) 2011/05/18(Wed) 22時半頃 |
暁…… って、誰、なんだ。
[部活の誰かではない。
けれど、日向以外の霊の気配は感じない。
もっとちゃんと、あらましを蛍紫から聞いておけば良かったと、ひとり手を握りこんだ]
![]() | 【人】 若者 テッド……疲れた。 (311) 2011/05/18(Wed) 23時半頃 |
![]() | 【人】 若者 テッド[重い体に鞭打つように、深く息をついて。ようやくゆるりと体を起こす。 (331) 2011/05/18(Wed) 23時半頃 |
![]() | 【人】 若者 テッド[眠い、と言っていたのが、気にかかって仕方なかった。 (337) 2011/05/19(Thu) 00時頃 |
![]() |
『こういうときは、俺より珀のが判るかもな……。』
[眼鏡をかけたとて、想いの残滓が見えるかは謎で。
同調する珀の方が……と、思ったり。
あらましきちんと話していないということは、うっかり忘れてしまっている。]
[指にかかる息にはっと我に返る]
…やべぇ、どうかしてる…
[耀に触れた指をぎゅうと拳の中に押し入れて。
その部屋を*後にした*]
麻雀やると、人間分かるって言うヤツが居た気がすっけど……
[じゃらじゃら]
日向、麻雀教えたら、付き合ってくれっかなぁ。
[幼馴染が真面目に調査をしている中。
牌をいじりながら、そんなことを呟いているのだった]
『あー、やはり、判らん。
後で、珀に見て貰った方がいいだろうな、これは。』
[珀が麻雀を愉しんでいる?とは、知らず、視えなかったことに溜息を吐いたりしている。]
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