194 花籠遊里
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僕にも、判りません。
愛がどんなものであるのか、などと。
[『花』には必要のないものなのです。
僕たちは愛し、愛されるのではありません。
『蝶』を惑わせ、誘惑し、休ませ、慈しみ、夢を魅せる。
ですから僕には到底、判らぬのです。
「真実の愛は朽ちることがない」などと。
判るはずがないのです。]
[僕の手に、ゆっくりと重なる手がありました
嫌がる素振りも、戸惑うこともありませんでした。
僕はその手に手を重ね、ゆるりと此方側へ引いたのでございます。
身長の差のせいでしょう。
いえ、元からそうしようと思ってだったのかもしれません。
僕は亀吉さんの手を引く反動にて、彼の胸元へとその身を預けたのでございます。
射干玉は酷く哀しげな色をして、見上げておりました。
揺れ揺らぎはすれども、雫が落つることはやはりなかったのでございます。]
僕の『先生』は、愛など要らぬと僕に教え。
懇意の蝶の毒牙にかかり。
『特別』を知り、『愛』の中に、なく、なられたのです。
[この廓でその毒にかかるとどうなるか。
『花』は聞かされずとも、みなが感じ取っているでしょう。
僕は、僕を厳しく優しく育ててくれたその『花』の末路をしっております。
だからこそ、僕は凛とした『櫻の花』であろうとしているというのに。]
それを、少し思い出して…。
辛かったのです。
[『しあわせ』ですか、という問いに『いいえ』と答えたその人に。
僕は遠慮もなく、きゅうと抱きついていたのでございました。]
特別など、あってはならぬのです。
『花』は蝶を選んではなりません。
『花』は翅がほしいと願ってはなりません。
何方かを好いても
何方をも嫌っても
けっして、ならぬのですよ。
[まるで言い聞かせるように零れた言の葉。
嗚呼、また気遣って喋らせてしまうでしょうか
あのときの複雑に曇った笑顔の奥底を知らず。
僕は暫く、亀吉さんの胸に身体を預けていたのでございます**]
[浮き上がるうら淋げなお顔
瞳の中に宿したのなら、暫し胸を締め付ける感覚に戸惑うように瞳を泳がせていたものの、続いて薄桃色が紡いだ言葉には、そっと瞼を下ろす。
花を愛づる彼が愛を知らない、だなんて。
淡藤にはひとつの虚言のように思えてしまったために。
全てが嘘だとは思っている訳では無く。
まるで己に言い聞かせているように聞こえた、というだけ。]
判らない。
…そういうことにしておきましょう。
[こんなにも寂しげに愛を判らないとと告げる言葉に、うまくかける言葉は思い付かず。
だからと言って判らないという結論には寂しく思うのもあり。
曖昧なお返事を返したのだったか。]
[伸ばした指先は花を愛づる手のひらと重なる。
そのことにホッと一息を吐けど、少しして緩慢ながらも引かれてしまえば、虚を突かれた身体は、素直に小さな頭を胸元にて受け止めただろう。
そして揺れる射干玉には、無意識の内に噤んでいた唇を許し。
揺れはするものの、雫を伝わせることのない頬に人差し指を伸ばしたのなら拭うような素振りをして。]
──…。
[そっと自身よりも幾分か華奢に思える肩に腕を回すことができたなら、宥めるように黒髪を梳きつつ、全ての言葉を飲み込んで。
そっと先人の教えに耳を傾ければ、愛の夢で花弁散らした花の存在を知ったのだった]
………。
[桜の唇から紡がれる“先生”とその周りをつ移ろう蝶の末路
きゅうと抱きつかれたのなら、拒むこと無く享受しただろう。
「辛い」「少し思い出して」と、彼の口振りから推測するに教えを伝えたという花の末路に足を踏み入れようとしてしてまったのだろうか。
…一体誰が? 呟きは声にはせず心の中で押しとどめれば、耳にする先生の言葉]
[きっと、きっとこの御人の胸の内には“特別な人”がいらっしゃるのだろう。
それがどのような味の実なのかは流石に判らずとも、己に言い聞かせるような言の葉に。ただ小さく頷いただろう。]
……ええ。分かっておりますとも。
[けれど、蝶に選ばれ摘み取られてしまったのならどうするのだろう。
唇を迷うように閉じては開きを繰り返していたけれど。
胸元にかかる重みと花の匂いに暫し、酔うように結局目蓋を閉じたのだった。]**
[僕の言葉に、亀吉さんの表情は細やかながらも変化を見せるようでありました。
寂しげな表情には、目を泳がせておられましたし
紡いだ言葉には、瞼が閉じられてしまったのです。
「…そういうことにしておきましょう。」
亀吉さんの選んだ言の葉に、半分は救われた気がしました。
ですが残り半分は?
詰まる思いを胸に押し込み、僕は身を寄せたのでございます。]
[とん、と。
一度胸元に添えることを許された頭は、そっと微かな音を立てました。
亀吉さんという御方は、とてもお優しい方です。
何も謂わずに突然と身を預けた僕のことを責めることもなく
享受し、果てはその指で頬を撫でてまで下さるのです。
涙など枯れ果てた、可愛いげのない櫻の枝葉を
淡藤の蔓が、柔らかく撫ぜてゆきました。
落ちることも、流れることもない朝露。
その色も、その味も、僕自身とて知ることなどないのです。
亀吉さんの手が、僕の肩へと回るのならば
僕はまるでそれが自然であるかのように、身体を彼へと擦り寄せました。
眸同じく射干玉の髪を梳く手に、吐息を溢したのでございます。]
[暫くは、流れるだけの時をまるで止めるようにして
『花』が『花』へと、寄り添いあっていたのでございます。
髪を梳く指先、伸ばした艶やかなその毛先が着物に擦れ
長い睫毛が、上と下とで合わさる音だけが
ただ、止められぬ時の移ろいの中で
微かに響いていたのでございます。]
……、…ありがとうございます。
[やがてはそんな穏やかで、どこか寂しげな時も終わりを迎えねばなりません。
このままでいられたらと、我儘を口にしてしまうよりも前に
僕は寄せていた身を、緩やかに離しました。]
あなたは、とても聡明な『花』。
朧さんからは振舞いや、花たるそのお心を。
僕からは読み書きや、言の葉に乗せられる想いを。
きっと藤之助さんからは、柔らかなお心遣いを。
きっと丁助さんからは、その面に浮かべる笑みを。
こんなにも『先生』が居てくれるのですから、とても美しく咲き誇れるでしょう。
『花』として、あなたと巡り会えたこの『仕合せ』を
僕は本当に『しあわせ』に思います。
[離れを惜しみ、僕は彼を象徴する淡藤に細い指先を伸ばしました。
慈しむように撫で、僕は背を伸ばし。
薄い櫻色の唇で触れることは、許されたでしょうか。
許されたならばその髪に、そっとやわらかな感触が音もなく触れたことでしょう。]
今日は、あまりしっかりとお勉強が出来ませんでしたね。
[身体を離してからは、そんなことを紡ぎました。
ふふっと笑みを溢す表情と、異国の呪いへと落とした表情とは明らかに違う
いつもの朗らかな微笑みを、彼に向けていたのでございます。]
時間のある時だなんて、寂しいことを仰るのですか?
僕はいつでも、此処におります。
居なければ書斎、居なければ中庭。
「お会いしたかったので、会いに来ました。」
また、そう謂って下さい。
[繰り返すは、意趣返しに溢された言葉でありました。
ありがとうございますともう一度告げたのならば
僕は小さく頭を下げて、彼を上目に見つめた後に
その場を離れたのでございます**]
[この御方のように、優しげな笑みなど浮かべない
高慢で傲慢なひとひらが、僕の脳裏をよぎっても。
ひとつ、落とす言の葉は音になどなるはずもないのです。]
[淡藤は桜の梢と寄り添うように腕を回しただろう。
さすればごく自然な動作でふわりとした花の匂いが近付き
そっと小さくはにかんだでしょう。
漏れた吐息は二輪、同じ頃だったか。
溶け入るように吐き出しながら、そっと流れに沿うように艶やかな射千玉に指先を絡めていただろう。
けれども時間は無情にも過ぎ行くもの。
胸元に香る気配が離れてしまえば、視線で追ってしまいつつも、引き止めることはせず
いいえ、出来ないといった方が正しいでしょうか。
何故なら淡藤の指先も胸元に残る花の香りと同じく、枝葉に過ぎず。
『花』には『花』を引き寄せることも、その場で縫いとめることも、出来ないのだから。]
[淡藤は年の瀬こそ丁助という花と重なるにしても、此処へ訪れたのはきっと、花達の中でも遅咲きであったと記憶しており。
だからこそ多くの方に教えを請うては苦労をかけさせたものの、こうして座敷にて一部屋お借りすることが出来ている。
それもひとえに此処に御座す花籠のお陰。
先に咲いた可憐な一輪の言の葉を耳に頂戴したのなら
綻んだような笑みを向けてみせたでしょう。]
…ええ、貴方達に育てられた『花』ですから。
些か甘い露を啜り過ぎた気も致しますが、きっと。
……、きっと、咲いてみせます。
[するりと、淡藤に戯れなさる指先を拒む筈も無く。
欲張りな花は少しだけ甘えるように頭を下に傾けて。
やがて音も無く唇を落とされたのなら、そっと頬を赤く色付かせたでしょう。]
[顔を上げる頃には頬紅は成りを潜めていたけれど、言葉紡ぎ朗らかに微笑む御方には目元を和らげてみせ]
…いいえ。今日も甘露を頂きましたから。
[櫻色の唇を落とされた髪をゆるりと揺らしながら微笑み。
選ばれ遊ばれた言葉を頂けば]
…月が欠けてしまう前に、必ず。
貴方にお会いしたい。
[針が示す前と同じものを紡いでは、射干玉を凪いだ瞳で見つめ返し、後ろ髪を引かれる思いを断ち切り、見送ったのでした。]*
[聴こえません。
花の声も、蝶の声も。
蜂蜜色へと変わる櫻は、彼の『蝶』だけを見つめているのです。]
[藤之助の声も、他の花の音も。
届かないフリ、聞こえないふり。
――――……そうでなければ朧を保てなくなってしまう。]
[腕を引いてくれと、そう望んだのは他ならぬ自分。
その手にまた触れることが出来た時、確かに左胸は鼓動を大きく揺らしたというのに。
結局、『花』は『花』でしかあらぬのだ。
胸元に残る花の教えを深く、深く刻みつつ。
そっと銀で覆われた縁を歪ませた。]
[見ないで、と声に出さぬまま、口はそう紡いで
目尻には快楽からか――うっすら涙が浮かんでいたろう]
[とうのすけ。
音にはせずに藤色の花を呼ぶ。
頭を撫でてやることも、雫を拭ってやる事もできないこのもどかしさ。
己が『朧』である事を、友である事をこれ程に後悔した事は無い。
関わりが浅い『花』となら、こんな思いをせずに済んだのか。]
[今宵は二輪が共に買われているのかと
心のどこかで、そう思っておりました。
聞こえぬフリをしていても、耳には否にも届くのでございます。
お優しい藤の花が、辱められているのでしょう。
麗しい朧の花が、甚振られているのでしょう。
揺れる焔の花は、遠くに身を委ねているのでしょうか。
綻ぶ淡藤の花は、求められるまま咲いているのでしょうか。
───裡に渦巻くものから眸を逸らし。
僕は金糸雀の唄に、耳を傾けるのです。]
朧、お願い……もう……
[小さく、願う様に囁く声は涙と色に濡れ
彼にこんなことをさせてしまっているのだと自覚すればぱらぱらと汗に混じり雫が頬を伝った]
―――坊やの悪趣味に比べちゃ、俺なんぞ可愛いもんよな。
[喉を震わせた独り言を聞くものは居ない。
ただ、と思案巡らせ、瞳を微かに揺らした。]
あれもつくづく、面白い坊やだ。
[溜息のような感嘆は、男にしては珍しい他者への興味。
花籠の外に向ける視線は、久しく。
過ぎった感覚を自覚すれば、
笑気一つ零して、夜に再び身を浸した。**]
[ごめんなさい、と
唇は涙浮かべた子供の様に震えながら言葉を紡いだ]
[隣より聞こえるは、激しさを表す声でありました。
肌の打ち合う音も、粘膜擦れる水音も。
やがては明瞭でない嬌声が、弾ける瞬間を伝えたでしょう
見えぬはずの涙の音が、此方へ届いた気さえします。
他の牢でもきっと、花々は咲き乱れているはずです。
此処はそういう場所なのですから。
そしてそれが僕たち『花』の、『しあわせ』であるはずなのです。]
[僕の戯れのような接吻けに、頬を染めた銀花も
誰ぞ彼の腕の中、咲き誇っているのでしょうか。
丸窓からちらりとだけ、月の端が見えました。
「月が欠ける前に」などという言葉を
不意に僕は思い出し
傾く月を眺めては、彼の『花』の行く末を想うのです。]
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