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沼太郎! 今日がお前の命日だ!
そんなの しらない
しぬのは あなた だもの
[
その拍子、赤い鞠が、手から落ちた。
母が病の床に編んでくれたものだとは、身の内押し込めた心しか知らない。
夕顔と朝顔の柄に、一つの身に宿った二人の子への違わぬ愛を知らない。
ただ、落ちたそれへと視線を向けた時。
どくんと、身の内押し込めたはずの心が叫んだ。
微か影が揺らいだ*]
[
広がった影は、
幼子は、そのまま影を地に戻すつもり、だったのだが]
ころさ ないで
[唇をついて出たのは、沼太郎が知る、少女の声。]
[周囲取り巻く風の気配を感じながらも、まだだ、と女は地に爪を立てながら、少しでもと呼吸を整える。]
……――――。
声が聞こえた瞬間、女も”立て”と唇を動かした。
風が刃となるよりも早く。
女を守るの盾として、そして日向を貫く鉾として、鋭く地中より生まれ出るは深緋の霜柱。]
[その声に。
影は老人の身を放した後、少女の足元へと収まった。]
【人】 双子 夕顔─ 通り ─ (1) 2014/02/19(Wed) 00時半頃 |
[風を阻み。風の帯を引き裂いて。
そして、そのまま日向を貫かんと、空を目指して。*]
は、は……。
人が……化け物、に、勝てる訳、ないって……ね。
[貫いた霜柱が、滴る紅を喰らって。
そのまま、日向の身体を凍てつかせていく。]
けど、よか、ったじゃ……ない……。
人の……心のまま、逝けた……でしょ?
[ごろり、仰向けになって。
痛む肋に、切り裂かれた肩に手を当て、傷口の血を凍らせてかりそめの止血を施して。
霜柱に貫かれたまま凍りついた日向へと視線を向ける。]
…っは……。
[荒い呼吸に胸元を上下させつつ、とん、と地を叩けば。
霜柱はしゅるりと縮んでゆき、日向の身体が地へと降ろされた。]
【人】 双子 夕顔[地に伏せる老人の身から感じていた気配が薄れていく。 (7) 2014/02/19(Wed) 01時頃 |
【人】 双子 夕顔[いつもと変わらぬ優しい笑みを浮かべる老人は、けれど傍目にも生死の境を彷徨っていると解る。 (14) 2014/02/19(Wed) 01時半頃 |
間抜けな狸が、負けるもの、と相場は決まっておるぞ!
[華月斎がちぎり始めた半紙が力を得る前に、と、ぶん、と宙に環を描いた錫杖から、焔が一筋、燃える矢のように手元を狙って放たれる*]
狐かて、出し抜かれる時があろうや!
[千切り終えた半紙を宙へと放り投げる。
その間にも迫る、焔の矢
ひらり散る半紙がいくらか燃えたが、構わず扇を振り上げた。
巻き起こる風により舞い上がる、数多の蝶。
手元を狙った焔は、華月斎が動いたために手ではなく左腕を焼き抜けて行った]
っ あ、 っつぅ……!
こなくそ!!
[脇を締めるように左腕を引き、焼ける痛みを堪える。
その間に右手の扇を頭上に翳し、ひらひらと左右に揺らし蝶を巻き込みながら眼前へと下ろして。
扇に蝶を纏わせ左へと流すと、右へと振り抜いて密集した蝶の大群を法泉へと走らせた。
ひらり舞う姿とは対照的な、直線を描く軌道。
法泉の居る位置を駆け抜けさせるようにし、抜けた直後には扇を振り上げて上空へと蝶を逃がした]
さすがに玄人と言うべきか、手妻師の動きには無駄というものが一切無い。
形成す前に燃やしてしまおうとした焔は、出来上がった蝶のいくらかを灼き、手妻師の左腕に僅かな火傷を残しただけに終わる]
焔は熱いに決まっておるわ!
[それでも、手傷は与えたか、と、嵩にかかって再び錫杖を振ろうとするも、一見優雅に扇に纏われた数多の蝶が、艶やかに舞う姿とは裏腹に、蜂の如く鋭い動きで、坊主の目前へと襲い来る]
ち...!
[あれ程速い動きでは、燃やそうとしても焔を我が身に向かわせるだけ、そう判断して、横跳びに避ける]
…つうっ!
[乱舞する蝶の紙の翅は、鋭く薄い刃となって、全てを避けきれなかった坊主の腕や顔を、薄く鋭く切り裂いた]
やってくれるな...!
[幾筋もの、紅い切り傷から染み出る血を、ぐい、と袖で拭い、上空に舞い上がる蝶に向かって、じゃらん、と、錫杖を振ると、螺旋を描く焔が、蝶達を押し包み焼き尽くそうと迫っていく]
まぁ、そんな訳だから。
[礫が一つ飛んだ。
手で投げた訳ではない。
地面から直接、笛持つその手元を狙って]
そのまぶしいの、喰わせてよ。
お前の顔まで忘れちまう前にさ。
【人】 双子 夕顔─ 回想 ─ (77) 2014/02/20(Thu) 00時頃 |
【人】 双子 夕顔─ 回想 ─ (79) 2014/02/20(Thu) 00時頃 |
【人】 双子 夕顔─ 回想 ─ (80) 2014/02/20(Thu) 00時頃 |
流石に簡単にゃ食ろうてくれんか。
[直線的な動きは威力が高いが、それ故に軌道は読まれやすい。
法泉にいくらかの傷は負わせた
ちぃっ!
散りぃ!!
[上空へ逃がした蝶を再度繰ろうとした矢先、錫杖から迸る螺旋の炎
パチンと音を立てて扇を閉じ、密集状態を解除しようと。
けれどひらり舞う蝶は駆ける炎の勢いと熱された気流に阻まれ半数が焔の檻に囚われた]
ほんっっっっっっま、面倒やなぁ!
[素材の不利は予測していたが、予想以上に厄介なことになりそうだ]
(ほんなら……地の利、生かすしか無いわなぁ)
[背水の陣、と言うわけではないのだが、華月斎の背後には清流がある。
どうにか使えないかと思案しながら、頭上に掲げたままの閉じた扇を空気を打つように振り下ろし、法泉を指し示す位置で止めた]
穿つ!!
[焔の檻から逃れた半数の蝶を纏まりの無いままに法泉へと降らせる。
その後は蝶を繰るのを止め、懐から再び半紙を引き抜き細かく千切り出した]
【人】 双子 夕顔─ 回想 ─ (81) 2014/02/20(Thu) 00時頃 |
……悪いけど。
そう言われて、はいそうですか、って頷く事はできないな。
[地面から飛ぶ礫。
こちらも一歩下がって、袖振る仕種で左の腕を払う。
刹那、空間に舞い散るのは流れる紅葉。
その流れが礫を弾くのに合わせ、右手の笛を頭上へと差し上げる]
そも、忘れる前に、ちゃんと向き合えるようにしてやるっての……!
[宣と共に、笛を振り下ろす。
優美さと鋭さを併せ持つ動きは衝撃波を生み出し、それは甲高い音を立てて一平太へと真っ直ぐ、駆けた。*]
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