91 時計館の魔女 ―始―
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――奴がしたことの尻拭いをなぜ私がせねばならん?
ふざけるな、は此方の台詞だ。
[はあ、と長い息を吐く。]
そんなもの―― どうだって、良い。
私に害はない。
(82) 2012/05/30(Wed) 01時頃
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――穢れているのは貴様だ、莫迦者。
私は"人狼"を誇り高い一族と思う、が。
貴様は違う、 血の制約に抗えぬ"ケダモノ" だ。
[腰にさげたランタンが、からりと揺れた。 此れを作った祖父は、誇り高く散ったのだ。
――愛するものを、護るために。]
(85) 2012/05/30(Wed) 01時頃
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[それと、と。続けることば、]
私は私が"異常"であることなど。
とうに識っているが?
[嗤う、瞳の底は暗い。 話はこれで終わりだとばかりに、炎が弾けた]
(86) 2012/05/30(Wed) 01時頃
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――私のモノを傷つけるものは赦さない。
其れだけだ。
[なあ、 " " 、と。 くつり笑った声に、しもべの真名をのせる]
(90) 2012/05/30(Wed) 01時頃
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ヴェスパタインは、無能なしもべなら捨ておいてくれると嘲った。
2012/05/30(Wed) 01時頃
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[エリアスの囁きに、床を蹴って飛び退る。 放たれた矢は、何を穿つか。
白い外套がひらりと翻った]
(92) 2012/05/30(Wed) 01時頃
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[悲痛な叫びと共に突き立てられた牙は、肩に深く突き刺さる。 走る痛みに眉を顰めて、其の身体へ掌を当てる、]
――― 無様だな、
["中身"を識った時に、見えたもの。 その"生きるため"を、断つことは、絶つ、ことは。 酷く難しいことであるとも、解っている。 ]
其れでも為さねば、ならぬことも、ある。
愛を嘯くなら、
―――血を吐いてでも、為せ。
[鮮烈な炎に焼かれながらも、己に牙を突き立てた獣に。 掛けた言葉は、情けか。]
(95) 2012/05/30(Wed) 01時頃
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やりもしない内からやれぬと嘆くから―――……
[関わろうとして、友を喪って。 遠ざけて、祖父を喪って。
また近づいて、"友"を、喪って。
――そうやって、生きてきたから、こそ。]
先も、視えん。
[青に焼かれる黒い狼に目を伏せて、膝をつく。 生きたいように生きて、ほしいものを願って、"獣"も"ヒト"も、――なにも、なにも変わらないのに。]
(98) 2012/05/30(Wed) 01時半頃
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―――………、
[覚えていよう、と。]
[漸く牙が離れた頃に、呟いた。]
(100) 2012/05/30(Wed) 01時半頃
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[ 例えば、この獣が"ヒト"に生まれていたなら。 例えば、己が"獣"の血を継いでいたなら。
例えば――……、お互いに"獣"であったなら。
解り合えるものも、あっただろうかと。]
…………、
[息を吐いて、朽ちた獣を見やる。]
(101) 2012/05/30(Wed) 01時半頃
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―――" "
[捧げた言葉は、"獣"が"獣"を送る詩*]
(102) 2012/05/30(Wed) 01時半頃
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[祖父が母の墓前に一度だけ呟いた、弔いのことば]
(-71) 2012/05/30(Wed) 01時半頃
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