182 【身内】白粉花の村
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おや、煙草は嫌いですか。
[取り出そうとした手を止めて、突き付けられた煙草を肩を震わせて受け取り、そのまま口へと含む。微かに俯き、ゆっくり、少しずつ肺へと送り込みながら]
(……少し、喋りすぎましたかねぇ)
[吐き出した煙を見つめ、ぼんやりとそんな事を思う。そう言えばいつぞやも確か、同じ事を思っただろうか。 ――どうにも喋りすぎてしまいますね、なんて。常ならば、こんなに自分の事を話す事などしないと言うのに。 しかしその理由など、考えるだけ"意味が無い"と捨て置いておく。いつにも増して饒舌なのは、余程機嫌が良いのだろうか、と適当な結論だけはつけておいたけれど]
(………、まぁ、いいか)
[どうせ、嘘を混ぜてしか無いのだし。彼にこの、歪んだ心の内を晒す気など、更々無いのだから。
深く息を、肺に溜まった煙を吐き出しながら。顔を上げてチラリと彼の顔を見て、手にした火の付いたままの煙草を向けてやれば、彼はまた怯えてくれるだろうか。 ――そうして、そのままその頬へと触れれば。顔を近付けて掠めるように、唇に触れてやれば。 煙草の匂いと共に掠めた、きっと不意打ちになるであろう口付けは――果たして成功しただろうか]
(+76) 2014/07/04(Fri) 21時頃
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(……噛みつかれるくらいの覚悟はしていたんですけどね)
[ポツリと胸の内にそう零しながら、聞こえてきた間抜けな声に目を細める。 そうは言うものの、噛みつかれでもしてきた日にはそれ相応の報復はしてやるつもりだったのも確かだが。
小さく息を吐きながら、火を向けた時の顰められた顔を思い返せば、どうにも愉楽を感じざるを得ない。 火の燻るその煙草を、自分の顔に、或いは傷にでも押し付けられると思ったのだろう。 ――まさか、まさか。痛い思いをさせるつもりはありせんよ――"今は"。
触れた時間はほんの僅かな間だけれど。押されて僅かに離れた距離に、クスリと笑い。 押し返してきた手>>+78を掴み、カタン。小さな音を立てて立ち上がり、身を屈めてもう少しだけ深く唇を押し付けてみようと顔を寄せれば、彼はまた更に抵抗しただろうか]
――喉。痛みますか。
[顔を離し、先程から幾度か喉を抑えている彼にわざとがましくそう尋ねる。 心当たりなんて、それこそあり過ぎる程にはあったけれども。それでも素知らぬフリをして、不思議そうに首など傾げてみせながら。 ――きっと、この一言がまた、彼の不信と苛立ちを煽る事を期待して]
(+79) 2014/07/05(Sat) 00時頃
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[手にした煙草はそのままに、寸刻その髪へと髪を指を絡ませようと手を伸ばす。揺蕩う煙がその髪を撫でるのを、彼は嫌がりでもするだろうか。
そのまま距離を取ると、棚からコップを取り出し水差しから水を注ぐ。先程酷く吐いていたし、そろそろ水でも飲めるだろうかと。 小さな音を立て、彼の目の前にコップを置いて、チラリ。持ってきた果物の籠へと視線を寄越す]
食べませんか。腹が減って。 ……君が食べないと食べにくいんですよ、これ。
["一応見舞いの品ですし"、なんて不服そうな溜息と共に、何とも自分勝手な要求を押し付ける。そろそろ麻痺してきた空腹に、げんなりとした顔を浮かべながら。 食堂に行こうにも、この空腹では持ちそうにない――いい加減、動くのも億劫だ。 たかだか葡萄を二粒食べた程度では、それが癒されるわけもなく。
椅子に腰掛け机に肘をつき、そして見舞いの果物達を軽く指で指しながら。来訪者にしては酷く尊大な態度で、部屋主の顔を見つめた]
(+80) 2014/07/05(Sat) 00時頃
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……"あんな事"? さぁ、"どんな事"ですか。
[馬鹿にしたような一言>>+86に、目を瞬かせてとぼけてみせる。その後くしゃりと歪んだ顔には、思わず苦笑を漏らしはしたけれど。 ――折角、口にしないでいてあげたんですけどね。 殆ど空気を震わせずに呟いたその言葉は、果たして彼には届いただろうか。届いても届かなくとも、医者は小さく肩を震わせて笑っただろうが]
あんまり邪険にされると傷付きますよ。 …"さっき"はあんなに素直だったんですけどねぇ。
[懐の携帯灰皿に灰を落とし、短くなってきた煙草をまた口へと咥え、近くのタオルで手を拭い。態々言葉を強調するように揶揄ってやる。素直もなにも、力で無理矢理ねじ伏せて、有無を言わせずそうさせていたのは――他ならぬ自分なのだけれど。
チラリ、と愉しむように相手の顔へと視線を向けて、おもむろに傍らの籠の中に入った桃を掴む。 置いたナイフで皮を剥きながら――彼はまた、怯えるかもしれないけれど、そんな事は気にもしない風に溜息をひとつ]
(+88) 2014/07/05(Sat) 02時半頃
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(…我ながら、酷い執着ですね)
[胸中の呟きと共に、微かに自嘲じみた笑みを浮かべ、ペロリ。先に触れた味を――その時の彼の顔を思い返すかのように唇を舐める。震える身体>>+85に浅い呼吸に。嗚呼さぞかし自分は憎まれているのだろう、忌まれているのだろうと笑いながら。
髪に着いた煙草の匂い。部屋にも僅かに残るであろうこの匂いに、また自分を思い出して苛まれてくれるのだろうか。 ――元々、一つの事に酷く執着する性質でありはするのだ。今回はたまたま、その対象が"彼"だっただけで]
(まぁ、やめる気も治す気もありませんけど)
[欲しい物が手に入らない事など慣れている――分かりきっている。 ならばいっそ、無理矢理奪い傷付けて、決して逃げる事の叶わぬくらいに縛りつけてやればいい。 そうして得たものが例え紛い物なのだとしても、そこに違いなど――きっと無いに違いないと。 今迄だって、ずっとそうしてきたのだから。そしてこれからもきっと、そうしていくのだろう。 ――自分はこれしか、やり方を知らない]
(+91) 2014/07/05(Sat) 02時半頃
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…そろそろ空腹で苛ついてきました。 痛い思いをしたくなければ、食べて下さい。
――あぁ、それとも。 食べれないのなら、食べさせてあげましょうか。
[微かに感じる苛立ちを隠す素振りすら見せず。にこりと笑い立ち上がると、摘まんだ桃の一欠片を彼の口へと近付ける。 そのまま桃を口にすれば、自分もまた別の一欠片を口にしただろう。 彼が桃を口にしないのであれば、医者は笑みのままに顎を掴み、その喉の奥へ無理矢理ねじ込むくらいはしたかもしれない]
(+92) 2014/07/05(Sat) 02時半頃
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