[欲しいと、ストレートで言わせた渇望の言葉。>>*77
解かれた指が王子様然とした外見に似合う動作でシュウロの口元へ運ばれ、噛み過ぎて紫色に変色した中指の背に触れる。
見た目のいい奴っていうのは、どうしてこういう気障ったらしい仕草まで絵になるんだと。
スクリーンに映しても遜色のない流れる様な仕草と。
伏せた瞼の下からゆっくりと現れ、自分を射抜く雄の視線に。
刺さる杭が心臓を貫いたのを知覚して、僅かに残っていた逆転への野望を完全に諦めた。
目的意識のはっきりしたこの部屋と同じ。
色気もムードも何もない。欲望に忠実で、シンプルな懇願。
それに全身の皮膚が泡立って、むき出しの欲望が想像と期待にふるりと震えてしまった。]
全部とか、我が儘だなぁ…
そーいうこと言うんなら、シュウロだってくれるんでしょ?
シュウロの全部、俺に。
[シュウロの言う全部がどこからどこまでを示すのかを曖昧にしたまま。]
(*89) nokto 2015/11/15(Sun) 14時半頃