[欲しかったのは多勢の崇拝者よりも、特別と思える、思ってくれる他人。
新世界の神が聞いて呆れる、あまりにも世俗的で平凡で身勝手な願望。
それでもその甘言に、口を付けたくなってしまうのだ。
蛇が差し出す果実よりも唯のヒトに成り下がる危険な香りを感じるというのに。]
ふ…、信者になると言った舌の根も乾かぬうちに、神を穢したいという言葉がでるとはな。
気が乗ったならば、神の子を宿したいと請うべきで、あろ、…っ
[減らない口も息が切れてままならない。
拙い策略を巡らせた結果、計算外のことばかりだ。
相手の目を自分に向けたいという、その目的だけは果たされたことだけに充足するつもりはないのだけれど。
見下ろした先、不敬な信徒が己に向ける視線にゾクリと走る感覚は、寒気にも似ているのにひどく熱かった。>>*17]
(*26) death73 2015/11/14(Sat) 17時半頃