[私の質問に、返ってきたのは長い沈黙>>*7だった。
勘違いか何かだったのだろうか。というか、そうとしか思えない。だって私は、誰かを呼んだ記憶などないのだから。
そこで、話は終わったのだと、そう思った時に、不意にその言葉は落とされた]
[“かあさま”]
[それは、初めて聞く言葉のはずで、私には縁のない言葉のはずで、それなのにどうして私は、こんなに衝撃を受けたのだろう。
どくりと、心臓が脈打ったのだろう。
私のどこかが、警鐘を鳴らす。言ってはいけない。いや、その言葉で“呼んではいけない”
それなのに、私の唇は。口数の決して多くないはずの私の唇は、その言葉を鸚鵡返した]
………………かあさ、ま。
[初めて口にする言葉のはずなのに、妙にしっくりとその言葉は私に馴染んで。
そして私の唇は、聞いていない言葉まで勝手に綴る]
とう、さま。
[何だそれは。そんなもの、私は知らない。
知らない、はずだ]
(*8) 2015/07/12(Sun) 18時頃