― 始まりの一通の手紙 ―
[早くこのお貴族様のふりをする為だけにある服を脱ぎたかった。
しかし根城としている―どうせ一ヵ所に止まらないのだからボロで構わない―アパートの部屋に帰ればテーブルの上に置かれた"招待状"]
親愛なるラルフ・ブレンケン殿……。
[偽名ではない、紛れも無い自分の本名がそこには記されていた
本来ならば警戒するべきであり今すぐにでもこの部屋を引き払うべきなのだが、……詐欺師は退屈していたのだ。
今回のターゲットも自分に絶対的信頼を寄せるまでもうすぐだろう。
代わり映えのしない毎日、これはいつまで続く?
死ぬまでか、捕まるまでか]
……いいよ、行ってあげる。
[その内の一日ぐらい、たった一日ぐらい
偽りの自分ではなく、紛れも無いラルフ・ブレンケンへ招待状を送ってきたオズワルドとやらに騙されるのもいいか、と思った。
そうして顔を上げアパートの汚い天井を見上げようとした瞬間、――目に映ったのは豪華な城の大広間>>0:15]
― 回想 了 ―
(-13) 2013/04/25(Thu) 10時半頃