──…ほんとに、かみさまなんだね。
[無記名のネームプレートがついた扉を開く。暫し絶句した後、いつかも口にしたような言葉が落ちた。
扉の奥には、真っ白な壁の部屋。
簡素なパイプベッドに重めのパイン材の机がひとつ、真横に同じ材質の棚がひとつ。
クロゼットは片側の壁についているが、それ以外の家具は無い。
部屋の中央の床には、見覚えのある紙袋が安置されていた。近付いて中を覗くと、ご丁寧に死ぬ直前に買い求めた画材が詰め込まれている。]
(俺の部屋…になる予定だった部屋だ)
[この春、卒業制作が佳境になる前に引っ越す筈だった。
雇用主が紹介してくれたリノベーション可能の物件で、今までのボロアパートよりも遥かに条件がいい。
何より、突き当たりの壁が全面窓なのが気に入った部屋だった。
今いるこの部屋は、窓は無く突き当たりも真っ白い壁だったが。]
(425) 2014/03/17(Mon) 13時半頃