似合うだなんて、……。
ありがとう、急かしちゃったみたいでごめんね。
晩ご飯の食材、相談がてら買って行こうかと思ってたけど…シメオン君、早いね。
作るのは、私にやらせて欲しいな。君の好きなものを作るから。
[言葉尻を綺麗に飾らずに消えた言葉は空気に融けました。彼の僅かに陰りを持った表情と低い声には、自分の勝手な行動の罪悪感からぴくりと眉を動かし、笑みを浮かべていた唇は表情を消します。
しかしそれも一瞬。学生は唇を結んだかと思えば、また開きました。笑みの先迎えに来てくれた礼と、そして謝罪を手向け。少しのお詫びがてら、そして先の約束を重ねて夕食を作ると示せば、彼はどのように言葉を返して来たのでしょうか。( 好きなもの、作れると良いけど。) 学生は不安は胸中へと吐き出しました。料理のレパートリーは、それほど多くないのです。
そうして言葉終わりに引かれた手>>345には、情けなく唇をぽかんと開きます。案外力があるんだな、なんて感想は開けた唇からは紡がれず、またもただ心中に。傾けられた傘を一瞥すれば、これでは反対側彼の肩が濡れてしまうと――悪戯にも似た案を、思い浮かべました。]
(362) 2014/10/06(Mon) 23時頃