居座り店員に注文を促す差中>>275>>276に、新たに聞こえた声>>291に僕は思わずそちらを振り向きました。向いた先に居たのは先程知り合った彼女。なるほど、道理で凛として澄んだ声に聞き覚えがあったわけだと、独りごちては出来るだけ綺麗に笑って見せます。「また会いましたね。」先程帰ると言ったのに、何故ここで会ったのかと疑問は投げられるでしょうか。しかし僕はただ碧の家に帰りたくなかっただけだったので、それを聞かれたのならば、特に意には介さず、小首を傾げてみせることでしょう。
「孔雀草、飾るんですか?」
先程からこの花屋にはめまぐるしい程に客が来ますね、と、自分を棚に上げた感想を持ちながら、数度店員と話しただろう彼女に話しかけました。
店員さんの顔を横目にちらりと窺い、もし忙しくなるようなら自分の注文は取り下げようかと、そんな思惑も浮かばせ、僕は彼女に声を投げたのです。
(295) 2014/10/02(Thu) 14時半頃