[直ぐに撤回して、無理矢理にでも奪ってしまえば良かった。
それが出来なかったのは、烏の子が。あの子が。
――あまりに必死だった>>225から。
…元はシーシャのものだった、要らない情。
そんなもの必要がない。シーシャと一緒に消えてしまえばいい。
"私"はシーシャじゃない。シーシャは"私"じゃない。
呪文のように同じこと、ひとつを繰り返す。
嵌め込まれた硝子に映るのは――シーシャの顔。
"私"が大嫌いな。…"私"を大嫌いな、シーシャの――
衝動的に硝子に叩き付けた拳をもってしても分厚い硝子が割れることはない。知っている。識っている。嗚呼。それでも!
一度二度、三度と廊下を写し取る硝子を殴る。
四度、壁をキズ付けることを覚えた爪が容易に血を流す。
五度、六度。拳の痛さよりも、ずっと、ずっと。
――――胸の、何処かが痛くて。]
(274) 2015/06/09(Tue) 01時頃