[歩を進める度に耳に届く会話は、何やら小難しいように思えて。
櫻子から習っているにしても、元より大した学のない自分からすれば、頭に浮かべたところで理解しようという心そのものを霧散させる。
ある種の現実逃避なのかもしれない。
事実袖口の下の唇は硬く引き結ばれていたし、それが露わになってしまうのは、年下と言えど鮮やかな花の聲を耳にしてしまったから。>>193]
──っ!
[だからこそ反応が遅れ、捉えられるは男の腕>>194
“興味”だと蝶が口にすれば、顔を反射的に顔を背けて。
惑うまま、弁舌する花と蝶を眺めていたのだけれど。]
………。…変わったご趣味でいらっしゃる。
[見開いた目を数度瞬きさせたのなら、声の主、柔らかい色調の蝶に視線を向けて。>>198]
亀吉です。……あの、助けて下さい。
[状況に追いつけず、取り敢えずもう一匹の蝶に請うてみようと。]
(201) 2014/09/13(Sat) 22時半頃