― 昼過ぎ:自宅 → 公園 ―
……この、角。――邪魔。
[後もう少し、の代わりに漏れた言葉には自然と棘が出た。重い息を鼻から、零す。
ぼんやりと秘密基地を思い出させる、潜められた声>>55を脳裏で反復していれば、寂しさにも似た苛立ちが、不可解を栄養に胸の中で育ち。
自然と唇がツンと曲がり、最後の箱は半ば放るように積んだ。
…狭い窓の外を一瞥すれば、ようやく傾いた日が厚い雲を僅かに透かしていた。
緩慢な動きで玄関へと向かう。家の中で怯えていても仕方ない――とはいえ、正しさだけでは身体は動けない。と、言い訳を連ねる。
平穏を望むと言う彼か、彼女かは、普通に外へと出たのだろうか。しゃんと張られた背筋を想像しながら、頬まできっちりマフラーを巻き、外へ出る。
…頬を撫でる秋風は、涼しい。
人気の薄い道ばかりを選びつつ。臆病な足取りの先は、馴染みの公園へ。
そこに覚えのある人影>>189はあっただろうか。あれば、一瞬の躊躇の後、"こんにちは"と声をかけて。
無ければ、暫くの滞在の後、ふらりと大通りを目指しただろう。]
(194) 2014/10/04(Sat) 00時頃