[あらわにされた負の感情ももっともだ。本当ならもっと早く説明しなければいけなかったのだから。
安心させるように薄く笑んで、彼女の隣りに並ぶ。
これで相手が本当に子供であれば腰を折って目線を合わせるところだが、それは却って彼女の気を逆立てそうで]
ええ、分かっています。
[丁寧な口調と、向けられる敵意と。彼女が必死に感情を押し殺そうとしているのを見れば、そっと目を細めた。
安心して良いのだと、見放したりはしないと、今此処で言ってしまっても良いのだけれど――]
……少し歩きませんか。
中庭に、綺麗な紫陽花が咲いているんです。
[そう言って、返事も聞かずに歩き出す。
反応を待っていたら、彼女は同意してくれないかもしれない、そう考えたから。
これなら嫌々でもついて来ざるを得ないだろう、打算めいた考えのままに、花の咲き誇る中庭に向かった。そう遠い場所ではないから、すぐに着くだろう]
(192) 2014/06/26(Thu) 20時頃