おらおら、おとなしくしてろバカシカ。
[機嫌よさ気に床を蹴るトナカイから手を離そうとすれば、もっとやれと言わんばかりに袖を食まれて。仕方なく、首を掻くのを続行する。
こう甘いから、トナカイにリーダーと認識されないのかもしれない。
実技は、基本的にトナカイが指示に従わないものだから成績は悪い]
お前は一言ごとに人を老人扱いすんなっつーのっ
お前がそのつもりなら、こっちは一言ごとにお前をガキ扱いすんぞ
[何度目かもう数えるのも億劫な苦情を口にして。
突きつけられた細っこい指に噛みつく真似をしてやる。
拳を肩に再び捻じ込まれれば、弾みでスキットルが手から滑り落ちた。
もうほとんど中身の残ってない銀色が床へ投身していく]
あ。あーあー、もったいねえ。
[指先を動かす朧の足元に落ちた赤色を見て嘆いて。
身を屈め拾い上げる視界に入るのは、何かを編むように動くバター色の指。
なあに考え込んでるんだか]
(189) 2015/01/24(Sat) 22時頃