[視線を向けた時、彼>>167のフォークは真っ新だった。
自分がラザニアに夢中だった間の彼の行動が手に取るように分かってしまい、逃したはずの熱が頬へ再び集うのを感じる。]
……じっと見るの、駄目です。
[嫌じゃなくて、駄目。
彼にだけ告げる我が儘も、未来を語る言葉に溶けていく。]
いいなぁ、それ。
これまでは、乙坂さんが作って、私が食べる。
これからは、一馬さんが食べて、私も食べる。
いいなぁ。夢みたい。
[いつもは、カウンターで向かい合って。
今日は、隣同士同じものを食べて。
同じ場所だからこそ、違いだけが浮き彫りになる。
彼の口にする未来が容易く想像できて、いつかいただきますを交わすことが特別じゃなくなるのかもしれない、なんて。
浮かんだ考えに目を瞬かせ、笑みがチーズみたいに蕩けた。]
(181) Pumpkin 2019/12/03(Tue) 20時半頃