[そういえば櫻子は花の世話をしていると言っていたが、それは二重の意味の花だったのだろうか。
なんて籐之助の説明を聞きながら考えていると、廊下の向こうから近づいてくる大男が。>>166
もしかすれば自分とさほど背丈は変わらないのかもしれないが、相手の体つきはがっしりと大木のようにしっかりしているために大きく見えた。
如何見ても蝶の側だ。失礼にはならない程度に自分とは何もかもが違う彼の姿を見やる。
太い手首に巻かれた装飾品、衣服の間からちらりと顔を覗かせる刺青、無精髭…僕にとって未知の類である人間への興味に胸が高鳴った。
育ちが良さそう、などと言われたので微笑んで答える。]
いえいえ育ちがいいだなんてまさか。
ただの成金の息子ですよ。
ニコラスと申します。
[そして櫻子がどうのと聞こえたので
彼との関係を尋ねてみることに。]
失礼ですが、櫻子さんと仲がよろしいので?
(172) 2014/09/13(Sat) 20時半頃