[長い長い二度目のキス>>163は、甘くて、熱くて。やがて淡い林檎の味は溶けて消えた。
舌を絡め取られるまま、私は夢中でフィリップを味わう。
捕食するってこんな感じなのかしら、なんて。
口づけに酔いながらそんな考えが頭を過ぎると、ぞくりと体を電流が走った。
もっと。もっと欲しいわ。もっと、もっと。
我慢のできない子どものように、欲望のまま、求めて、求めて。
いつしかフィリップの背中を抱きしめる私の手は、指先が白くなるほど力がこもっていた。
脳裏を過ぎるのは、月見が書棚に戻していた本のタイトル>>3。
嗚呼、確かに私は、けだものなのかもしれない。
私は、自分のことを無感動な生き物だと思っていたのに。
どくどくと心臓が脈打っていて、私は間違いなく興奮している。
汗ばんだ額をくっつけるなんて、厭わしいはずなのに、
荒い吐息が混ざり合うなんて、気持ち悪いはずなのに、
私はこの上ない多幸感に満たされて。
きっと、無表情なはずの私の瞳は、欲望にけぶっていただろう]
(171) 2015/07/13(Mon) 18時頃