――……
[酷く強く、耳に、脳に浸透した「負の言葉」>>150
思わずぴたりとタオルに掛かる手は動きを止め、また息を吸うことさえ。
――朽ちると、ちいさくちいさく囁かれたその綴。
かの中庭の夏花のように、月光に照らしても生き返ることは無く
…この花も、苗床を喪ったならば、その身を――綺麗な花弁を、ぼろぼろと零してしまうのだろうか。
其れはまるで、雫を垂らす人の様に。
されとて強い拒絶の裏、伺い見た花の顔は、「いつもの笑み」
雫の気など毛頭見せずに健気に咲く花。夜の櫻。
何処から見ても美しく、軈て散る花。刹那の夢。
ぱちり。ぱちり。
瞬きふたつ。牢に囚われた翅の代わりに狐色の睫が宙を跳ね。
枯れ朽ちるのならば水を遣ろうかと、開く唇は静かにこくりと腹へと下った。
どうせ今宵も、蝶は蜜をば吸う側、花を枯らす元なのだからと。]
(163) 2014/09/18(Thu) 23時頃