ー朝・桃園学園、休み時間 部室ー
[ひとり、部活の支度も兼ねて部室へと向かう。学校の中には珍しくある和室の部屋で、横開きの戸を引き中に入るとい草の香りが届く。
あぁ、久しぶりに帰ってきたなと、嗅覚から記憶を刺激される心地。
夏休み中に数回だけ部活は行われていて、勿論、メアリーの姿もそこにはあった。彼女は不思議な感性で華を活ける、と沙羅は感じていた。
沙羅は幼少期から、華道だけではなく居合、合気、茶道、ピアノ、乗馬、…呪術、降霊術などなんかもうよくわからんくらい多くの習い事をその道のプロから教えを受けて育っていた。故に、メアリーに感じるものは多かった。]
…、あら。
[部屋の花瓶には、前回の残った花が飾られていたが数本萎れてしまっていた。沙羅は、床に新聞紙を敷いてそこに取り出した花を置き、花きり鋏を手に取った。]
(156) 2022/09/02(Fri) 19時半頃