う、るさい。
うるさい、うるさい、うるさい……!
[一つ覚えの様に繰り返して、尚も力を込めようとする。
こうやって自分に急所を許しているのに、ただ笑顔を浮かべる彼が酷く憎い。どうせ何も出来ないのだろうと思われているのだろうと思うと、何としてでもその余裕を壊してやりたくなる]
……はッ、
[囁かれた言葉に、伸ばされた指に、悲鳴すらあげる事も出来ず。睨みつけていた視線は、彼の指の先へと向けられる。勿論ディーンから己の首筋が見えるわけも無かったけれど、殆ど反射の様に動いた視線はどうにも出来なかった。怯えの色を帯びた瞳は情けなくも揺れていただろう。
びくりと左手が一際震える。ひたと当てたそこから彼の脈動が感じられれば、それをどうにも出来ない自分がどうしようもなく歯痒かった。
……いっそ。いっそ死んでも良いから、彼を道連れにしてやろうか。出来もしないくせにそんな事を考えて、せめて心までは屈していないのだと自分に言い聞かせる]
(151) 2014/06/29(Sun) 02時頃