[何時ぶり……いつ、ね。
苦い。苦い苦い思いが心を満たすが、表情になど微塵も出さない出させない。何時からだかは――――大丈夫、まだ、“落としちゃ”いないよ。
そうそう、そうだ。彼と食事に出たのはちょうどひと月前。あの時も熱いものだった気がする。]
ん。
[無邪気な声。呆けてた瞳がちらりと輝かせて。入口の方に目を移せば、あーあー、俺から出向くつもりだったのにな。浮かべた苦笑いは、思ったより生き生きしてた。
若い子たちを眺めてるのは好きだよ。それはきっと、年を取ったのもあるだろうけれど、それ以上に、残してきた妹を思い出すからか。昔から世話を焼くのは好きだ。無意識に、口元が柔らかくなる。]
[トレイは置きっぱなしで席をたって。片づけはちょっと任せるね、大将。この時俺は知らなかった、今日の自分の夕飯がどうなるかを……なんてことにはならないように、厨房からちらりと見えたオッサンに左手を立てて。少女たちの方へ。]
(132) 2015/06/03(Wed) 21時頃