[藤の花>>95からその色にそぐわ無い冷たさが掌に伝わる。
冷たい癖に、表情がコロコロ変わる花である。
唇を、音を立てて吸い。煙の熱に肺を焦がしながら絡みつく舌に応えて喉奥を突こうとする。
口の天井を舐め、顔を離せば熱い吐息が互いを紡いだ。
成る程、確かに藤の花は上等らしい。しかし、]
おい!朧の!
[今まさに曲がり角曲がろうとしたところだろうか、気まずそうな面持ちでその場を立ち去ろうとしていたもう一人の花>>94。名前を覚える程には見かけたその背中を気付かない人はいないであろう大きな声で呼び止める。]
ついさっきこの藤の花を買う気が……あー…失せた。
"お前"から指導しとけ。
[失せた、と言う時だけは何処か言いづらそうだったが、藤の腕をガシリと掴んで朧の元まで送るまでは早かった。
失せた理由、そんなのは「素直過ぎて手に余る」の一言に尽きる。捻くれ蝶には捻くれた味でないと胃に響く。
理由を尋ねられたところではぐらかして二人きりにしようという心算は変わらないが。]
(128) 2014/09/18(Thu) 18時半頃