─ 厩舎→練習場 ─
礼の言葉より、現物の甘味が欲しいな。
[視線が遠のいた感覚>>112を気にもせず、さらりと。
上手く素直になれない彼を真似ての言葉だったが、
存外熱が籠ったのは、部屋に置いてきた存在の所為か。
外に出ると、ひやりとした外気に帽子の紐を顎下で結び。
雪に足を取られぬ速度で、橇の轍を踏みしめる。]
トナカイとて、不安はあるだろう。
だが、彼らは背後の操縦者を信用しているからこそ、
前だけを真っ直ぐ見て走ってくれるのではないか。
[俺のようにちらちらと振り向かれては、信用がない証拠だ。
そう口にすれば、橇を引くトナカイ本人が同意を示すように上下した首を、分かってるなら止めてくれ、と軽く小突く。
練習場に着けば、もたもたと橇をトナカイに括り付ける。
しゃがんだ頭を齧ろうとする口を躱しながらの攻防付きだ。]
(121) 2015/01/24(Sat) 01時半頃