[と、お守りの対価にと赤い石が掌に落とされる。大鷲の鳩胸を飾っていた石の一部だ。狐はいたく感動した様子で恭しく石を捧げ持った。]
おお、なんという僥倖でございましょう。
太陽の子自ら身につけ、常にその逞しい鳩m……ンッンン、御身と共にあった宝石をくださるとは、何と度量の大きな方であることか。まさに、空に輝くかの日輪にふさわしきお人。
[狐は、常日頃から鷲の胸飾りを気に入っていた。
ので、この対価は思いがけないものであり、素直に嬉しくありがたいのだが。何しろ常がこうなので、傍目にはいつも通りの胡散臭い賛辞でしかなかった。]
では早速ではございますが、わたくしは祈祷の準備をして参りますので、これにて失礼致します。
[日取りはご都合のよろしい時に、と言い置いて。
ギロや草屋の主人に挨拶をして、無事榊の枝が仕入れられればそれを抱えて、狐は家路に着くだろう。**]
(110) 2019/10/09(Wed) 22時頃