[ミックスナッツを袋から取り出しフライパンにあける。
乾煎りして少し香ばしい香りが立ったところでメープルシロップをとろりと回しかけ、塩を振った。
後は下に保冷剤を敷いたバットの上で冷まし、コーティングされていないピスタチオと共に盛って出すだけの簡単なつまみだ。
メープルシロップは、絡めたらすぐに火から下ろし――――]
っやば、
[危うく焦がすところだった。
すぐそこで、まだ外の冷えも残っているような時間しか経過していないのに、あからさまな「誘い」が有馬の口から発せられたから。>>94
手元が止まる。背中が強張る。
店長が普段聞かないような声色で空気を緩ませてくれなければ、本当に焦がしていたかもしれない。>>104
「駄目だ」と強引に二人の間に割って入る資格は、単なる店員の己にはない。
その遣り取りに、己が介在する理由はない。
握る拳に血管が浮く。]
(109) 2019/11/28(Thu) 21時頃