──…変わってなんて、無いわ。
[呼ばれた名前に観念して、知らん振りをするのは諦めた。
あんまり変わったから、と続いた言葉>>99に、眉根を寄せて顔を背けた。今日こそは顔を見て話をしてやろうと思っていたのに、そうそう上手くはいかないようだ。
いつもと違う装いを揶揄するみたいな言い方>>100に、否定も肯定も返せない。
どうしてそこでアランの名前が出るのかはよく分からなかったが、彼の声音がちくちくと棘のように刺さるのは、自分の苦手意識だけの問題では無い気がする。
耳が熱い。
菫色のプラトークの位置を、少し深くする。耳だけじゃない。
頬も、ついでに目頭も、じんと痺れるみたいに、熱が篭る。]
『………似合わないよ。』
[なんの装いも無く淡々とした響きに、視界がぐにゃりと歪んだのは、きっと視力のせいでは無いだろう。
どうして。
言おうと思っていた筈の言葉は、みんなどこかへ吹っ飛んでしまった。
どうして。
どうして。
あなたって、いつもそう。]
(107) 2015/05/26(Tue) 03時頃