[ゴチリ、とも、ドン、ともつかない音が頭部で弾けた。
気がつけば、真墨は少女の頭部をお腹に庇ったまま地面に倒れていた。
たかが2メートル半の高さから落ちた程度で怪我などしないだろう、真墨はそう思い少女の身体を一通り眺める。]
(……雨?)
[ぽたり、と耳元で水音が聞こえた。
今日の天気は雲ひとつない晴れだった。パステルカラーの水色が広がっていたはず。
だが、真墨の顔を見た少女の顔はみるみる青ざめていき、]
『せ、せんぱ…!ち…!』
[女性は流血に強い、とはいうものの、それは体の一部で出血している場合の話だ。
右側頭部からダラダラと血を垂らしながら少女を見る真墨の顔を見れば、悲鳴の一つでも上げたくなるだろう。或いは恐怖で声すら出ないか。]
…血?
[真墨は少女が指を差した先にある自分の頭部に触れ、手のひらを確認する。
まごうことなき自分の血だった。
青でも緑でもない、赤色の血だった。]
(99) 2014/03/14(Fri) 19時頃