ーー……。
[彼女の一連の動作を見れば呆れたように溜息を吐き、紫陽花の上のガーゼを摘まんだ。彼女のいう『似ている』には何だか納得出来なくて、指先でガーゼを弄びながら答える。]
すごく、人間らしいと思うよ。
ーーでも。
[ガーゼを屑篭に投げ入れ彼女を見つめると、同意はしたくないかなぁ、と続けて。]
元々はこんなに綺麗なお花なんだよ、
それを自分から穢すって……変な話だよね。
マリーさん、あなたは綺麗なのに……、
[どうして、と言いかけて口を噤む。それを聞いたところでどうにか出来る保証もなく、傷を抉るだけになれば罪悪感に苛まれるだろう。それはどうしても避けたかった。
グラスに新たに注がれた酒に口を付ける。]
ーーマリーさんってわたしのこと嫌いでしょ?
[嫌いとは違うのかな、好きになりたいけど、受け入れたくないって感じかな、と勝手な予想を並べて微笑んだ。互いに心の内を探り合う駆け引きは、まるでチェスを指すようで。張り詰める雰囲気とは裏腹に内心楽しくて仕方がなかった。]
(98) 2014/06/28(Sat) 13時頃