[―――写真の不在に気付いたのは、主を探して屋敷を駆けまわった後だった。
どこで落としたのだろう、探しに行っていては、ライジに頼まれていた仕事が遅れてしまうか。
未だ、ガラスのことも謝れていないというのに。
仕方なく、一度部屋に戻れば、「俺が割りました ごめんなさい ヒュー」とだけメモに書き、割れた窓に貼り付けておく。
主が捕まらなかったのだから、仕方がない。
ついでに短く切った包帯を、先程切った指先に結わえた。
こちらは、すでに血が止まっているのだから無意味な気がしたが。
それから、向かったのは施設内、主に次いで最も血の強い男の部屋。
施設の備品を漁りに漁って、新たなシーツとガウンとを手に扉を抜ける。
何か嗅ぎ取ったか、ぐっと眉を寄せれば、まず窓を開いた。
お構いなしだった。
次に向き合うのは、部屋の中央のベッドだろうか。
シーツを張るのは苦手なんだよなぁと、不器用らしい独り言をぶつぶつと呟きながら、作業にとりかかる。
決して良くない手際で作業をしながらも、あの写真の事だけは妙に引っかかっていた。**]
(97) 2014/12/25(Thu) 00時頃