─宿屋・一階の食堂─
こんにちは。
パルック叔父さん、ケイトです。
[挨拶をして、食堂の裏手から厨房に入る。
じゃがいもとビーツ、それからトマトの煮える匂いに、思わず鼻をすんすんと動かしてしまう。
振り向いた叔父は、そんな様子に笑って出迎えてくれた。
食べるかい?と掛けてくれる声に、照れ臭そうに笑って首を振る。]
煮込んでる途中でしょう?
今日のケーキ、母さんからレシピ教わったから、オーブンに入れるとこまでやっちゃいます。
…叔父さんは、もう出るとこでした?
お鍋、見ておきますよ。
[言いながらエプロンを付け、ゆるく髪をまとめて、手を洗う。鞄から林檎のシャルロートカのレシピを引っ張りだした。
ケーキを焼く準備が終わる頃には、叔父は任せたよ、と言って出て行った。小さな村だ。祭りの準備ひとつにしたって、男手は重宝されるのだろう。]
(95) 2015/05/25(Mon) 00時頃