[男の手>>89で黒の糸が耳に掛かれば何処かきょとんとした顔が現れたろうか
頬を包み込む手はしなやかなれど何処か熱い。それは煙草を先程まで吸っていたせいか、それとも体温が高いのか、それとも――自分が、冷え切っているからか]
……それは、仰るとおりですが……
[確かに経験はあるし閨を男と共にしたことなど数え切れぬ。唯それは心を押し殺し鏡の様に振舞っていた頃のことで。素の自分が出てしまっている今、照れと戸惑いを隠せずにいた
それが気に入らなかったのか、それとも。
顔を引き寄せる蝶の銀の髪が額に掛かり、その奥の瞳が近くなる
どうなさいました、と告げようとすれば
彼の口から漂う煙ごと、その言葉は呑み込まれて]
……んっ
[肺腑に沁み込む煙は、何処かほろ苦くも酩酊感を齎す。頬に朱は差せど身体に沁み込んだ習性そのままに蝶の舌を己のもので絡めとり、熱を共有しようと角度を変えて吸いつく
背後の友に、きづかぬままに]
(95) 2014/09/18(Thu) 00時頃