[暖炉で暖まりながら、お茶の準備をじっと待っている。
手伝いの手は足りているだろうと思うから、図々しく頬杖をつきながら。
周囲の雑談を聞いたり聞かなかったりしながら、耽る物思い。
——この村には、親がいない子供たちがたくさんいて。
孤児院で集まって育つそうです。
お客さんとお話をしている時に、教えてくれたこと。
私には両親がいるから、ずっと縁の無い話だった。
私のお父さんとお母さんは、私にお店の番を任せてほとんど出てこない。
お花を仕入れたり、お金のやりくりをしたり、私にはできない難しい仕事に集中しているみたい。
よくわからないから、私はただ店先で愛想を振りまく看板に徹している。
でも、私は恵まれているんだなあって思った。
お父さんがいて、お母さんがいて、2人とも優しいから。
生活は貧しいけど、不自由に思ったり、寂しい思いをしたことはないんだもの。]
(94) 2016/11/12(Sat) 23時頃