―― インタビュー/ジェレミ ――
ジェレミ。
年は、1000を超えて700……
8、 ……6? いや、1000と1200。そのくらい。
[古めかしいカウチソファに乱雑に積みあがったクッションにもたれるようにして、白いシャツを半ばはだけさせて、男は金髪をかきあげた。声色はいっそ穏やかにあって、語る言葉もまた、真実がどこにあろうと構わないような、そんな気兼ねのなさがある。
ドキュメンタリー撮影班を前にして、そうして年経た吸血鬼はインタビューに答えてみせる。そのワンシーン。]
それから、そこにいるのが。
「彼女」だ。
[“She”の意味で男がその音を口にする。
撮影範囲内に納まるのは真白いばかりの衣服に包まれた女性、その頃はまだ頬の薔薇も鮮やかに、――ただ、自我の抜け落ちた茫洋の眼差しを持ち、寝台の上に腰かけている。]
(93) 2018/11/03(Sat) 10時頃