…おいしい 初めての味
[カサついた唇が湿って、白ばかりだった頬に僅か、血が通う。
知らないものを知れる夢、好きなものが増える夢。昔いつかにご本で読んだ、桃源、というものかもしれない]
きっとこれ、たぁくさん売れる
お狐様の予言は、あた、る… にゃあ?
[こちらを見て寄ってきた気がした娘>>79が雑踏に帰り消える。おねえさんがにゃァと鳴く] [あ、尻尾、隠れちゃった]
[結われた栗色の髪まで見えなくなって少し、ちびちびやっていた甘酒の残りを頬張って飲み下す。
ふちに残った最後の一滴を唇ですくって、両手で大事におねえさんの膝元に]
ごちそうさま、つよい猫のおねえさん
ここの甘酒おいしいよって、宣伝してくる
[こんこん]
[右手の狐を挨拶代わりに振って、左手で上げていた面を下ろす。
先の娘に会えれば上々、叶わずとも祭りの並びはまだまだ続く。
終りへ着いたら何処へ行くか、照る桜樹の、懐か**]
(90) 2015/04/19(Sun) 17時半頃