人狼議事

126 生贄と救済の果てに〜雨尽きぬ廃村・ノア〜


【人】 歌い手 コリーン

[そして日記は、ある日の前日で日付を止める。
だからそれは、私の記憶の中にだけあるもの。]

 ある日、一緒の任務で、兄さんに危険が迫った時。
 私は確かに、兄さんを庇って、守れたはずだった。
 目の前が真っ暗になっていく中。
 私は凄く、幸せな気持ちだった。だけど。

 兄さんの腕の中に抱き締められている、安心感の中。
 目を開けたら……死んでいたのは、兄さんの方だった。
 兄さんはきっと、私を《救済》して、多分戦う事ができなくなって。
 腕の中で、私を守るだけで、精一杯だったんだと思う。

[ツェツィーリヤと初めて言葉を交わした時、兎に触れたのは。
視力を失った彼女の瞳に、《救済》を連想して、兄と重ねたから。]

 だから、私の右腕に兄さんは居ないの。
 ううん。間に合ったなら、迷わず《救済》していた。

[そこまで告げて、色を失った瞳からは涙が零れる。]

(89) doubt 2013/06/25(Tue) 21時半頃

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