― 車両の外・出入り口近く ―
[男の忠告めいた言葉に返った反応は、落ち着いたもの。>>59どうやらヘリンヘイモには、さほど霧は届かなかったかと、内心で安堵する。或いは、厄介な効果を避ける手立てを持っているのか。]
はは...!
[見物するという言葉に、男は声を上げて笑い、目についた現地生物を揮ったステッキで引き裂いた。
目の前では、ソルフリッツィを始めとした数人が、なかなかのペースで原地生物を狩っている。一部混沌としているが、そこは気にするつもりもない。]
ああ、ヘリンヘイモ、こんな時に、そんな言葉を口にするのは不用心だぞ。
[続いたヘリンヘイモの問いかけに>>60男は小さく首を振る。葉巻をくゆらせながら、弧を描く唇から覗くのは、整えられた白い歯か、獰猛な生き物の牙か。]
俺が君を、食べてしまいたいと思っていたら、どうする?
[ひゅっと、空中を飛んでいる虫に似た生物を弾いたステッキの先が、ヘリンヘイモの胸元に向いてぴたりと止まる。*]
(88) 2022/08/10(Wed) 00時頃