―― 第一棟 廊下 ――
[ ―――自分の思考に反し、割合早い段階で上げられた驚嘆の声>>83に、男は肩を揺らした。男も少しだけ、驚いたのである。
しかし直ぐに表情を変えられるのには、こちらもまた緩く笑みを――見る人から見れば、薄ら笑いだか、アヤしい笑みだかに見えるそれを浮かべる。
男は笑い顔を作るのが、苦手だった。 ]
こんにちは。
…私を探してくださっていたのですか。それはどうも。
先程まで、上の大扉の前に居ったのです。朝が来たなあ、と…思いまして。
[ コンサート、とのことには、はてと内心疑問を飛ばす。
何があったのか、気にはなる。――が、その後誘われた>>84のには、ここで立ち話をするのも何だろう。
しかしここで何か催されるものでもあったのだろうか。好奇心の混ざった視線を目前の彼に遣りつつ。
まま、男にも向けられていた視線に、髪が邪魔ではないかと思われているなど知らずに。
男もまた、以前に比べて伸びた彼の前髪を視界に入れ、目に入らないのだろうかと思うことさえ、あった。]
(88) 2015/07/09(Thu) 16時半頃