[少し年上の彼女は誰も足を踏み入れてない雪みたいな、綺麗な色の髪で。
気軽に遊びに誘うのはなんだかちょっと躊躇われるような、そんな感じの女の子だった。
あの子のお父さんとお母さんは死んじゃったんだって。
最初からそんなのいなかったおれにはふわふわしてて、あんまりよく分からなかったけれど。
それは多分、悲しいことだと思う。]
ねえ。
どうしたらそんな風に歌が上手くなるの?
[なんて聞いたのはいつだったかな。
あの子の讃美歌が、とっても綺麗に聴こえて。御祈りも御歌も面倒臭がるくせに、ついついいつも聴き入ってたのを覚えてる。]
おれも、オーレリアみたいに歌えたらいいのにな。
[唇を尖らせ投げ出した足をばたつかせて、羨ましい気持ちを隠さずに拗ねた声を漏らした。
子供の頃の記憶の一ページ。あの子は、彼女はなんて答えてくれたっけ。*]
(78) 2016/11/12(Sat) 22時頃