─朝・自室─
[再び目を開いたのは遠く鈴の音が聞こえてからの話。
ようやく覚醒した頭はここが自室だと認識したけれど、どうやって戻って来たかは酷く曖昧だ。
自力で戻って来たか、果たしてライジが連れて来てくれたか。
粗相さえ無ければどちらにせよ此処での生活に関わることでもなく霞の向こうへ。
そもそも意識を飛ばしていたかも知れないし、と考えるのを止めた。
ただ己の目的と、そこに付随する愉しい記憶を少し覚えておけば不自由はない。]
それでも流石にちょっと怠いわぁ。
お兄様は大きくてらっしゃるから。
[末の位置である己は早く卓に着くべきと普段は心得ているが、湯浴みの方が今の優先事項と主からの呼び出しを黙殺して浴室へ。
大きな共同浴室もあるようだが、自ら使った記憶は持ち合わせていない。
残った精の香りを洗い落とし、新たに纏ったのはラベンダーの泡。
すっかりと昨晩の余韻を消したならば、食堂へ。
それは鈴が鳴ってから58分程後のこと──。*]
(67) 2014/12/24(Wed) 21時頃