……当然だ。
呼ばせんさ、君以外の…誰にも。
――……呼ばせて堪るか。
[赤らんだその頬へとキスを落とし、聞こえてきた何とも可愛らしい我儘>>44には、愉しむような声音で告げて。
そうすればまた呼ばれたその愛称には、やはりまだ少しだけ気恥ずかしさは拭えはしないけれど。
――たかだか、名を呼ばれただけなのに。
彼にだけ許す名を、その愛おしい声で呼ばれるという事は…嗚呼こんなにも幸福を覚えてしまう自分が少々情けなくも…悪くないと、思うてしまうのだから救いようがない。]
君以外の、誰のものになれと?
元々、誰かに所有や束縛をされるのは嫌いでね。
……それでも君になら、いっそ縛り付けられたいと思ってしまっているわけだが…迷惑だったかな?
[かける言葉は問いの形を成してはいたけれど、声には不安の欠片も見せずに。
彼が、迷惑な筈が無いと――そんな傲慢ですらある考えの元、手を握り込みながら溢れそうになる雫を見つめる。
喰らうように重ね合わせた互いの唇の間からは、仄かに熱を孕んだ吐息が零れ。回された腕>>45に一度だけ眉を寄せたのなら、少しの間を置いて彼の方へと体重をかけてはみただろう。]
(62) ねこんこん 2014/10/12(Sun) 03時頃