……しづき、あきら。
あきら……鏡、ね。
[手が取られた>>55のなら、その体を引き起こしながら彼の名を繰り返す。此方に来てから日の本言葉は完璧に習得したつもりだが、人名はどうにも覚えにくくて困る。
元より人に興味の薄い身では、それも尚の事。とはいえ下手を打って未来の顧客を失くしたくはないから、幾度もその名をなぞって]
……えぇ、覚えました。
どうぞよろしく、鏡。
――それと。
流石に、成りがそうでも男女の区別くらいは出来ますよ。ちょっとした冗句です。
[ふ、と。笑みの載せた吐息を零し、困った様な微笑みを見詰める。ほんの少し混ぜ込んだ嘲笑は、鈍いらしい彼にはきっと届かないだろう。
……そうしていたら、微かに漏れ聞こえる声>>59。
"浮世がどうたら"、と。断片だけを聞き取り、言葉の意味を理解せぬまま、眼鏡の下でぱちりと瞬く。
怪訝そうに声の方を向けば、笑顔の男と目が合っただろうか。取り繕う様なその笑みから、何やら良い事は言われてないとは分かる。まあそれも、"いつもの事"。
その姿が慌ただしく消えて行けば、興味を無くして目の前の彼に視線を戻し]
(60) 2015/01/18(Sun) 21時頃