―肆区/商店街―
[商店街を抜けて其処から壱区……遊郭の方へと足を向け様と思ったのだけれど。その道中に目的の人物の姿>>34の人物の姿を見付ける。
嗚呼、やはり彼の人の銀の髪は江戸の街では良く目立つ。
鼠小僧にも、一目で分かる様な特徴があれば、等と馬鹿げた事を考えながら。酷くゆたりとした歩調で彼に近付いて行く。
きっと、薬師の金糸と彼の銀糸が並べは、さぞ異様な光景になるのだろう。此方はそんな事を気にはしないが、さて、彼はどうだろうか。もしかしたら、嫌がられるかもしれない]
…………、
[呼び掛け様として、名前も知らない事を思い出す。そりゃあそうだ。態々客の名を聞いたりはしない。一方的に渡した名刺も、受け取ってもらえたんだったか]
……もし、其処の人。
[結局無難な呼び掛けをしながら、薬師は彼の反応を待った。彼の事と気付かれないのであれば、その肩でも叩いてみようか]
(56) 2015/01/22(Thu) 19時頃