人狼議事

213 舞鶴草の村


【人】 薬売り 芙蓉


……あのお菓子よりは、甘く無い思うんやけれども。
お口に合うてくれるかなぁ。

[そっと、覗くようにほんの薄く扉を開けて。中にきっと居るであろう薬師は果たして、殆ど音を立てずに開いた扉に気付きはしただろうか。
気付いていても、気付かなかったとしても。そっと薬屋の中、扉の脇に田楽の入った小さな袋を置いたなら、女はそそくさとその場を後にしただろう――例え、呼び止められたとしても。

"あの星の菓子のお礼に"と。先程買った田楽は、口に合うか――そもそも、口にしてくれるかも知りはしない。
だけれど、まぁ。そのまま捨てられたとしても、さして気にする質でも無く。
挨拶の一つもするべきだったのかもしれないけれど、時間も時間だ。長居する訳にもいかない――それに今日は、何だか一人で歩きたい気分だったから。

少し足早にその場を後にしたのなら、ふと思い立って進む方向を少し変える…もう少しだけ、夜の散歩を楽しむのも、また一興ではないだろうか。
そうして未だ行った事の無い陸区の方へと――あの瞽女の住まうと言うその方向へと、下駄を鳴らして進んだのなら、またひとつ空を見上げただろう。

――あゝ。今宵の月は、一際美しい。]

(54) 2015/01/25(Sun) 22時半頃

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