[なにかあった、とフィリップは言う>>52。
それはそうだろう。でなければ、赤い目元になって、誰にも会いたくないなんて言うわけがないのだから。
促すように一つ頷いて、フィリップの話に耳を傾けて。
そうして語られた話に思わず息を詰めた]
……その、「鍵」というのは。
文字通りの鍵のことなのかしら。
それとも、何かの比喩なのかしら。
[フィリップの持っている情報をはかりかねて、私は用心深く発言する。
比喩的な意味でなら、私の持っている秘密も鍵といえるのかもしれない。
もしかしたら、フィリップも知っているのか。それとも、全然違う情報を持っているのか。
別に、駆け引きをするつもりなんてない。フィリップを信用していないわけではない。
ただ、下手なタイミングで下手に情報を与えては、フィリップが混乱するだけかもしれないから。
だから、私はとりあえず、聞き役に徹することにする。
これ以上、フィリップの目元が腫れるようなことが、なければいい]
(54) 2015/07/12(Sun) 19時半頃